Ep.182 運命に招かれて ページ47
You side
あれから10分間程、閖ちゃんと練習室の床に寝転びながら他愛もない話を飲み物片手に続けていた。
お互いの小さな頃の話だったり、閖ちゃんがダンスを始めたきっかけだとか。
なんでも、彼女は元々体操を本当に小さな頃からやっていたみたい。
(そりゃ、あんな凄いアクロバットも出来るよね。)
1人で納得しながら、同時に密かな尊敬の念もしっかりと胸に抱いた。
閖「Aは？どうして音楽を始めたん？」
『チェロの話？』
閖「せやせや。」
ふと、いつの間にか年齢の垣根も超えて私達は心から気軽に話せるようになったなということにも気づく。
もしかしたらずっと前から皆は変わっていなくて、私だけ壁を作っていたのかもしれないけど。
返事を待つ閖ちゃんを横目に、目線はどこか隅の方へ向けて口を開く。
『……母さんが音楽の好きな人で。私が産まれる前から、私を音楽に触れさせる事は決めていたみたい。』
閖「そんなに固い決意だったんやね、Aのおかん……。」
『母さんは昔ピアノをやっていたらしいんだけど、音大に行くっていう選択肢は早いうちに消されちゃったらしくて。それで、娘にはどうか、っていう気持ちもあったみたい。』
昔、母から聞かされた話を反芻しながら目の前の彼女に打ち明ける。
そう、私が音楽の世界へ入ったのは偶然ではない。全て母が、良い意味で仕組んだことだった。
私がお腹の中にいる時もずっとクラシックを流していたらしい。
閖「へぇぇ、その話おもろいな。でも、ピアノにせんかったのは何でや？」
『ああ。それは、』
夏「はーい、皆！休憩終わり！続き始めるよ〜？」
異様に私の話に興味を向けてくれる閖ちゃんにつられて楽しく話していると、タイミング良く夏ちゃんから集合の声掛けがされる。
閖「えぇ〜もう終わり〜？」
夏「もう、閖はこの中でも体力お化けなんだからしっかりして。A、体調どう？」
休憩時間の終焉に、分かりやすく表情をしょんぼりとさせた閖ちゃんの頭を軽く押し潰しながら、夏ちゃんは私の顔を心配そうに覗き込む。
『うん、もう大丈夫そう。心配してくれてありがとう。』
夏「良かった、私達の大事な末っ子が倒れたりなんかしたら一大事だからね。」
『……照れるから、やめてよ。』
夏「ふはっ、だって本当のことだもん。」
そう言って私の髪をぐしゃぐしゃと掻き乱して、すぐに鏡の方へと走っていく夏ちゃんの後を、私も慌てて追った。
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パスタ好きのさらさん(プロフ) - Hano.さん» Hano.さんコメントありがとうございます！更新お待ち頂けていたとのこと、本当に感謝感謝です(泣)好みと作品ジャンルがマッチされているとのことで、これからもお楽しみいただければなと想います！嬉しいお言葉ありがとうございます(*^^*) (2021年9月3日 8時) (
レス) id: ee0c23d013 (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - わー！更新待ってました！ジャニーズとtwiceが好きな私にとってさらさんは神様です！これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年9月2日 20時) (レス) id: 56ad16bf12 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：パスタ好きのさらさん | 作成日時：2021年9月1日 22時
