Ep.179 何も考えることなく ページ44
You side
母「わぁ！コーナー組まれてるじゃない！」
私達のグループ名が呼ばれた瞬間に、母は分かりやすく目を輝かせ、そそくさとリモコンで音量を上げた。
画面の向こうには私達7人の姿。
未だに見慣れない、あちら側の私をじっと見つめる。
『……私めっちゃ緊張してない？』
母「ガッチガチね。笑お姉さん達があんたの事を凄く気にかけてくれている感でてる。笑」
『……は、恥ずかしい……。』
勿論、私はセンターという立場だ。堂々としていなくてどうして注目株のグループの中心に立てる権利があると言えるだろうか。
でもやっぱり、これまで演奏者の心意気で立ってきたステージとは明らかに違う独特な雰囲気に飲まれないように必死だったのは微かな記憶の中でも覚えている。
『私……私は、まだまだ新人だけど、私のことをよく知らない人でも「この子、このグループ、めっちゃ良いな」って思ってもらいたい、そういう気持ちは皆と一緒です。だから…』
カメラを一心に見つめている画面の向こうの私。
この時の心の底からの叫びは、今日本中に響き渡っている。
『私達EptaFlogaは絶対に止まりません！』
いつの間にか、この部屋にはテレビの音声とはもう1つ別で鼻水を啜る音が聞こえる。
きっと母のものだろう。そう思ってはいたが、己の顔も散々な事になっているのにも先程から気づいている。
母「……良いじゃない。」
パフォーマンスが始まり、暗がりの中から私が最初1人で出てくるシーン。
会場がハッとして一気に静かになったあの緊張感は、テレビを介してでも失われることはなかったらしい。
『なんかパフォーマンスが始まった時は……もう、頭の中空っぽだった。何も考えてない。ただ感じた空気と流れてくる音楽だけを受け止めて、その通りに動いたの。』
沢山練習を重ねた。皆に置いていかれている分も沢山努力した。
それでも本番では何も考えられなくなる。だけどきっと、それは悪い事じゃないと私は今だからこそ思える。
あの日、ラウール君が言ってくれた真髄の表現という言葉。
それは何かを考えて計画されたパフォーマンスじゃ、絶対に成し遂げられないことなんだ。
クラシックと同じで、この分野も感じる事が1番大事だと今回は学べたかもしれない。
母「あんたはセンスあるって滝沢さんからも言われててさ。世辞だと思ったけど、これは…納得ね。」
その言葉と共に頭を撫でられ、反射的に目を細めた。
- 金 運: ★☆☆☆☆
- 恋愛運: ★★★☆☆
- 健康運: ★★★★★
- 全体運: ★★★☆☆
ラッキーアイテム
革ベルト
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 250人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
パスタ好きのさらさん(プロフ) - Hano.さん» Hano.さんコメントありがとうございます！更新お待ち頂けていたとのこと、本当に感謝感謝です(泣)好みと作品ジャンルがマッチされているとのことで、これからもお楽しみいただければなと想います！嬉しいお言葉ありがとうございます(*^^*) (2021年9月3日 8時) (
レス) id: ee0c23d013 (このIDを非表示/違反報告)
Hano.(プロフ) - わー！更新待ってました！ジャニーズとtwiceが好きな私にとってさらさんは神様です！これからも頑張ってください！応援してます！ (2021年9月2日 20時) (レス) id: 56ad16bf12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：パスタ好きのさらさん | 作成日時：2021年9月1日 22時
