それでも私は。3

Ep.118 ざわめき ページ32

You side




『2004年8月11日生まれの15歳です。』



私がこう言うと、会場はどよめく。

あのSnowManの最年少ラウールより年下なのだ、驚き口が閉まらないのも無理はない。




その難しいリアクションに少しばかりドキッとして、隣の遥ちゃんにチラリと目線をやる。



遥「…！」


ｷﾞｭｯ



私が余程不安そうな目をしていたのか、静かに私の左手を温かく握ってくれた。



まだ若干緊張に震える声色で、カメラの方を強く見つめながら最後まで言い切る。




『私はスカウト枠でメンバー入りしました。入所日は今年の3月25日です。至らない点は多々あると思いますが宜しくお願い致します。』

　

そして深く深く頭を下げる。

芸能界に入る前、一般人として最後の一礼。






私が緊張しすぎたからか、あるいはこの会場自体が凍ってしまったのか、顔を上げるとシャッターは1枚たりともたかれずに誰もが呆然としていた。


理由としては、恐らくこの反応は……後者だと思う。





「まだ一ヶ月しか…？」


「しかも今年高校生になったばかりらしいじゃないか。」


「どういうことなのかしら…。」




また先程のざわめきがぼうっと戻ってくる。





(やっぱり、早すぎる。)





前から思っていたけど、私のことを高く見過ぎではないだろうか。

もし、もし私にそこまでの才能があるとしてもだ。

入所一ヶ月後にこんな大事なグループに参加させるって………。








ちらりと滝沢さんを見る。



(……。)



この状況を見て彼が何を企んでいるかは全くもって想像できないけど、かすかに微笑んでるような雰囲気を纏っていた。





滝「様々な声があると思います。」



するといきなり、台本にはなかった文言を滝沢さんが話し始めた。



凛「……これ、誰か聞かされてた？」


夏「いいや、全く。」


杏「とりま…滝沢くんに流れを任せてみよう。その後の事は司会が何とか……」


『…めちゃくちゃ焦ってるねあの人も。』


遥「滝沢くんのことだ。変なことはしないはず。静かに見守ってればいい。」






この会場にいる誰もがこの後の展開を1ページたりとも想像できていない。


…滝沢さんは遠くの誰かを見つめているような…そんな感じもする。




滝「私は確信しています。ジャニーズのこれからを担い、変えていくのはSixTONES、SnowMan、そして…彼女達なのです。」





こちらへ大きく振り向く。

滝沢さんの顔はどこか柵から脱した様なスッキリした表情を見せていた。

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あずきいろ

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