疎い彼女 ページ20
『………ねえ、敦君』
「何?
………えーと、蓮、君?」
『良いよ、別に君とか付けないで。
慣れてないから』
耳に付けていたヘッドフォンを下ろしながら会話する蓮。
敦は蓮の言葉に「え」と言って、躊躇ったように口を開いた。
「えーと、蓮?」
『うん、それで良いよ』
「じゃあ、僕のことも呼び捨てでいいよ」
『………慣れて来たらね』
それだけ言って、ぷいとそっぽを向いた蓮。
微かに赤くなる彼女の耳を見て、可愛いと思ってしまう。
女子にしては背の高い蓮は、太宰がよく飛び込む川にかかっている橋から下を覗き込んだ。
『敦君、あれ太宰さんだと思う?』
「え?
あ、あれ太宰さんだ!」
蓮が敦の方を向いた次の瞬間には、彼の姿は横にはなくて、代わりに下の方からドボン、という盛大な音がした。
蓮は慌てて川の岸にまわり、敦が引き上げて来た太宰を支える。
『………太宰さん、こんなに毎日川に飛び込んでるの?』
「そうだね、ほぼ毎日……」
あはは、と苦笑する敦の瞳をちらりと見てから、太宰の頭をぺしっと叩いた。
『起きてるでしょ、太宰さん』
「暴露た?」
「うわあ、びっくりした!」
ぎゅるん、と目を開いた太宰に敦がビビるが、蓮は呆れたように息を吐いてから立ち上がった。
ヘラヘラと笑う太宰を見てから、ヘッドフォンを再び耳にかけて、敦の腕を取って歩き出す。
「置いていかないでくれ給えよ」
『太宰さん、早く戻らないと風邪引くよ』
冷たく言い放てば太宰は慌てて追いついて来て、その横顔に思わずフッと笑ってしまう。
「今笑ったでしょ」
『笑ってないよ』
「笑ったね」
『笑ってませーん』
「仲良いですね」
「そうだろう?
矢張り私達は恋人に____」
『あ、ねえ太宰さん。
後でうずまき行きたい』
「………良いよ、社員で行こうか」
「大変ですね、太宰さん」
無意識に蓮に躱される太宰に、敦は同情の視線を送る。
太宰はなんとも言えない顔で蓮に言葉に頷き、絶対に振り向かせてみせよう、と決意したのだった。
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Cabby - NEKOさん» 御免なさい、たまに出てしまうんです………おそらくバグか何かかと。気付いたので修正させていただきました。NEKOさんも、無気力ななさんもご指摘ありがとうございます! (2019年12月25日 19時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
無気力なな(プロフ) - 私もです!!なんか変な字がたくさん出てきた (2019年12月24日 19時) (レス) id: 9b1d70f3c6 (このIDを非表示/違反報告)
NEKO(プロフ) - すみません、めっちゃ文字化けしてるようなのですが何故でしょう? (2019年12月24日 18時) (レス) id: 14e69bc545 (このIDを非表示/違反報告)
Cabby - NEKOさん» ありがとうございます!未だ続きますので、宜しくお願いします (2019年12月22日 15時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
NEKO(プロフ) - これからも楽しみにしてます!完結になってたのでもう終わっちゃったのか焦っちゃいました..笑 (2019年12月21日 21時) (レス) id: 14e69bc545 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鸞宮子 | 作成日時:2019年12月14日 18時