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「君は何を使って脅したんだい?
君は刃物も何も持ってなかった筈だ」






その太宰の問いに今度はAが挑発的に笑みを浮かべた。






『………そんなの、簡単。
コレ………使った』






そう言ってAはずっと手に持っていた《ソレ》___ティースプーンを掌で転がした。


ソレを見て太宰は成る程、と頷き、国木田は驚いたように目を見開いた。







『あの、緊迫…した状況で、冷たいもの……当てら、れたら、普通は一瞬で、刃物と思う。
それ、を利用………した』







ティースプーンに身を引いた谷崎を見ると苦虫を噛む潰したような変な顔をしていた。








『…ごめん、ね』






「否……いいンだよ。
だけど、ちょッと探偵社として自信が………」






へなへな、と倒れこむ谷崎。


情けなくも柔らかく見える笑みで、良い人なのだろうと思ってしまう。


そして太宰に此れを行なった目的を問おうと振り向くと、部屋の扉が開いた。







「____見事だった」







仏頂面で言ってくる福沢。


ソフィアは何も言わずにAの前に来た。






「合格って話じゃなかったのですか」






「まあそう警戒しないでくれ給えよ、ソフィアちゃん。
此れは伝統なのでね、一種の入社試験というやつだよ」






そう言って太宰が福沢を振り向くと福沢は仏頂面を続けたまま言った。






「合格だ」






そう言うとソフィアはそっとAの手を握る。


その手を解かずそのままにしてAは福沢に聞いた。







『入社試験、必ず……あるっていう、ことは………何か、意味あるんです…よね?
___例えば………【人上人不造】が…使える、ようになる……とか?』







「………当たりだ」







その福沢の一言に握られていたソフィアの手に一瞬だけ力が入った。


だがAはソフィアを振り向く事をせず、一つの可能性をあげる。






『………社長、の異能を…使っても、制御、出来ないことって………ある?』







以前から少し疑問に思っていた。


ソフィアはAの異能力【神々からの寵愛】の詳細を隠していた。


それにはきっと意味がある筈だと。




例えば、人を簡単に殺められる異能だから、とか。


例えば、代償として命を差し出すことになったりとか。


___例えば、自分では制御不可能な異能だから、とか。




ソフィアは福沢の異能、【人上人不造】の効果を聞いて興味を示していた。


そのことから恐らくではあるが、所有者には制御不可能な異能という可能性が大いに浮上した。

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Cabby - ありがとうございます!是非続編も呼んでください! (2019年10月4日 19時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
楳宮 春 - 続編が楽しみです……! ソフィアちゃんの太宰さん嫌いは凄まじいですね…笑 無理せずに更新頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 523f0370de (このIDを非表示/違反報告)
アルパカ - とっても面白いです!次の更新も楽しみです! (2019年9月29日 20時) (レス) id: b5778c1530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年8月26日 13時

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