28 【過去編】 ページ30
「まさか………ネイロス君、嘘をついてたのか?」
「………嘘はついてねェよ。
Aを大事に思ってたのは本当だ。
天花羽さん達に感謝もしてた。
けど、俺の大事な物がかかってるんだよ。
一番手っ取り早い方法は此れだ。
だから済まねェが、あんたらには死んでもらう」
「____A!逃げろ!」
父の言葉に少し足が動いた。
だが、此処から動いて仕舞えば、何か悪いことが起きる気がする。
Aが戸惑っていると、父は言った。
「早く、裏庭に出るんだ。
そこに行けば軍警に連絡が行く水晶がある。
其れを使え」
『父様………でも』
「………残念だけど、アレ、とっくのとうに使えない様にさせて貰ッたぜ。
アレに触っても軍警に連絡はもういかねぇよ」
「何っ!?」
そう言ってハルはポケットから水晶の破片を出した。
其れに父は悔しそうに歯を食いしばり、母に言った。
「母さん………Aを連れて逃げてくれ」
「わかったわ」
『ダメ!
いったら、ダメ、な……予感がする!』
母に手を握られるがAは一生懸命抵抗した。
そんなAを見た母は、Aを抱き上げ、走り出した。
『父様!
母様、おろし、て……!』
母が広間を出て行き扉を閉めようとする。
その時、ハルの声が聞こえた。
「____夢の終わり」
広間が青い光に包まれるのが見えた。
****
『母様、あの、ままじゃ………』
「いい?
貴女はこのまま外まで走りなさい。
そして、遠くへ行くの。
そうしたら、私達を待ってて」
『………母様?』
「絶対に、行くからね」
『____母様!
私、そこまで……馬鹿じゃ、ない……』
「………A」
『母様は、私の……為に戦、う気でしょ……?
教え、て』
青い目は真っ直ぐこちらを見てきた。
Aも紫紺の瞳で見つめ返す。
『____私は、何?』
その言葉に母は息を飲む。
そして、その美しい瞳に涙を一杯に貯め、Aを抱きしめた。
母の横顔を覗き見れば、その顔は申し訳無さげに歪んでいた。
「ごめんね、ごめんなさい。
………外の世界は、貴女には辛いかもしれない。
Aは少し、特別なの。
私達はただ貴女を幸せにしようとしただけ。
………ごめんね、本当に」
母はこちらを見て柔らかく微笑んだ。
「よく聞いて。
_______生きなさい」
****
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Cabby - ありがとうございます!是非続編も呼んでください! (2019年10月4日 19時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
楳宮 春 - 続編が楽しみです……! ソフィアちゃんの太宰さん嫌いは凄まじいですね…笑 無理せずに更新頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 523f0370de (このIDを非表示/違反報告)
アルパカ - とっても面白いです!次の更新も楽しみです! (2019年9月29日 20時) (レス) id: b5778c1530 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年8月26日 13時