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男がAの首に手をかけてきた。


冷たく大きな手。


脚が宙に浮いている。


おそらく相手は片手だけで持ち上げているであろう。


片手には拳銃を構え、ソフィアの方に向けていた。


グルグルと頭を働かせる。





『……………貴方の、名前……は?』





「……命乞いか?」





『………最後に………教え、てくれても……いいじゃん』





「最後に………か。
俺の名は中原 中也。
最後に覚える名前が俺とは、光栄だったなァ」




『……そ。
それ、と……もう一つ。
____頭脳戦を………好む、相手、に無闇に……時間、与えない方が……いい』




「____なッ!?」





『《異能力 【神々からの寵愛】》』





Aが導き出した答えは、ソフィアを一度戻し
万全の状態にしてからこの場からの打開方法を考える、だった。


その場にいたはずのソフィアが消える。


其れに中原は目を見開いた。


少しこ気味よく思いながら、再度呼び出そうと口を開く。





『《異能力 【神々から____





「言わせるかよ」




そう言って中原はAの口内に銃口をねじ込む。


言葉を発することができなくなり、異能力の
発動は失敗に終わった。


先程よりも強く首を絞められ、口の端から唾液が垂れてきた。


苦しくなり、目を思わず瞑る。


意識を手放してしまいそうになる。


この感覚をAは知っていた。




____生命の終わり。




一度体感して、またすぐに体感することになるとは。


そっと、目を開いた。


目の前にいる青の瞳は、Aを殺したあの青い瞳とは違った。


何人もの人を殺してきたのであろう中原。


だが彼は違かった。


Aを殺した時に発したあの言葉を覚えていた。





《ごめんなァ、A。
____大好きだよ。》





あの言葉が嘘なはずがない。


彼と中原は違う。




『(私は、彼に殺されたんだ)』





そう思えば、どこか気持ちが吹っ切れた。





『(私は、此奴には殺されない)』





そう思った時、彼の笑っていた日のことが思い浮かんできた。


中原の腕を掴んでいた手を離し、そのまま彼の顔の前に向けた。




「____ッ!」




瞬間、中原の意識が手に集中し、拳銃を持つ手が緩んだ。


拳銃を思い切りかみ、首を横に振った。


カラン、と音を立てて拳銃が飛ぶ。




「手前ッ!」




首にかける力が一層強まった。


だが、言葉は発せる。


____形勢逆転だ。







『___《異能力 【神々からの寵愛】》』







瞬間、意識が闇に飲まれた。

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Cabby - ありがとうございます!是非続編も呼んでください! (2019年10月4日 19時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
楳宮 春 - 続編が楽しみです……! ソフィアちゃんの太宰さん嫌いは凄まじいですね…笑 無理せずに更新頑張って下さい! (2019年9月29日 20時) (レス) id: 523f0370de (このIDを非表示/違反報告)
アルパカ - とっても面白いです!次の更新も楽しみです! (2019年9月29日 20時) (レス) id: b5778c1530 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年8月26日 13時

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