緑色の映像 ページ7
「＿＿＿＿何で！
そんなに手前は出来が悪いんだよ！」
「＿＿＿＿ッア……ゥク」
六歳ほどの一人の幼女が、黒髪の男に蹴られていた。
幼女は泣き叫ぶことはせず、ひたすらに苦鳴を堪え、頭を抱え男の癇癪が収まるのを待っていた。
然し、地獄は終わらない。
「本当に、こんな餓鬼が《シシャ》の異能を受け継いだって言うの？！
こんなの弱っちくて、使えない無駄な存在じゃない！」
茶髪の女もヒステリックに叫び、幼女に暴行を加える。
魂は、昔の自分と全く同じ光景に吐き気を覚え、この映像を見ることを拒否する。
だが、漂うことしかできない魂は映像を見ざるを得なかった。
「ぁ………やめ、それ…いやッ！！」
いくら殴られても蹴られても反応を示さなかった幼女が、何かに怯えたように首を振り始めた。
女の手には、焼かれた鉄が。
それが何を意味するのか。
「ィヤッ！！
ァァァァアアアアアアアアアア！！」
幼女の悲痛な叫びが血が飛び散った部屋に反響する。
じゅう、という肉の焼ける音と共に幼女の微かな嗚咽が聞こえる。
その音にまだ満足しないのか、男女は悪魔のように火傷を負った幼女の背中に鋭く鞭を打ち付けた。
「ぎゃあぁ！！」
「何で！私達が！」
「ああぁ！！」
「こんな目に！！」
乾いた音が鳴るたびに幼女の悲鳴と泣き声が響き、鮮血が飛び散る。
暫くたち、男女は満足したのか、傷だらけの幼女を置いて部屋を出た。
幼女は一人、嗚咽を漏らしながら、自分の血の匂いの漂う部屋に蹲っていた。
＿＿＿＿映像は、其処で終わる＿＿＿＿
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作者名：鸞宮子 瑩 | 作成日時：2019年11月24日 13時
