検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:36,595 hit

赤色の映像 ページ6

目の前には胸から血を拭いて倒れる女性。

琥珀色の瞳を細め、目の前で呆然と光景を見る幼女に、女性は手を伸ばした。









「母様?」









五歳に及ばない幼女にこの光景はきつすぎた。

幼女は女性の状況を理解出来ぬまま、母を呼び続ける。

女性は濁った瞳に、最後に最愛の我が子を焼き付けようと、笑みを浮かべた。

口から血が溢れ出ても、笑みを作ったまま女性は幼女に手を伸ばす。









「ごめん、なさい。
守り、きれなく…て。
ごめ…なさい……。
最後、ま、で…見届け、られ、無くて」









幼女の頰に軌跡ができた。

女性は、愛おしげに、壊れないように幼女の髪を指で梳く。

幼女は、冷たくなっていく母の体を触り、温めようと寄り添った。

腕を持ち上げる力のなくなった女性の手は崩れ落ち、代わりに、涙が頰を伝う。


これが最後だとわかった女性は、精一杯の愛を、最後に言の葉に乗せた。









「____愛してる」









琥珀色の瞳は、長い睫毛に縁取られ閉じられる。

震えていた唇からは、とめどなく血が溢れ出す。

貫かれた心臓を中心に、地面に血の花が咲いた。

枯れた女性の涙を見た幼女は。









「母様?
母様、母様、母様。
起きて、母様」









年に合わない重すぎる現実を目の当たりにして、幼女はひたすら母の体をゆすり続けた。

いくら呼びかけても目を覚まさない母に、目が涙で一杯になり、目の前の母の顔が霞む。

血に濡れた腕で、幼女は己の涙を拭い、ひたすらに母に呼びかけた。









「おい、餓鬼。
手前の母親はもう死んだよ、とっとと来い」









顔が涙と鼻水でグズグズになった幼女の襟を引っ張り、男が言った。







____死んだ?




____死んだって何?




____母様が?





____そんな訳ない。





____だって母様は。








引き摺られながら、母親を再び見る。

其処には胸が貫かれ、血で半身を濡らし、それでも尚笑みを浮かべた母親がいた。









____《死んだよ》








____嘘だ。




____だって、母様はまだあんなに綺麗に笑ってる。





____嘘だ。






嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘だ、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘、嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘嘘____



















「____何の為に、母様は死んだの?」



















____映像は、其処で終わる____

緑色の映像→←青色の映像


ラッキーアイテム

革ベルト

ラッキーキャラ(マフィアonly)

夢主


目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (15 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
43人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年11月24日 13時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。