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彼の思い出の中では笑っていたい ページ34

『_____太宰さん』









夜が明けてきて、それぞれ別れた。

一度太宰と二人で蓮は仮眠をとり、任務に向かおうとする。

だが太宰が途中まで見送ると言うので、有り難く承諾し、持っていく武器を揃え、任務の場所を確認した。









「今回の任務は大丈夫そうかい?」









太宰にいわれ、少しだけ笑って答えた。









『何時もの任務よりは少し長くなりそうです』









「私の補佐だ、大丈夫だろう?」









太宰の言葉が嬉しくて、思わず顔を伏せた。

頰が紅潮するのを感じ、冷たい手のひらで冷やす。

すぐに顔を上げ、太宰を見れば優しい顔で此方を見ていた。









『ええ、大丈夫ですよ、きっと。
貴方の元に帰って来ますから』









気障ったらしい事を言って見て、二人で笑う。

太宰は気付いているのだ。

何時もと蓮の雰囲気が違う事を。

それを太宰は問わないし、蓮も言わない。




蓮が見たいのは太宰と共に光の世界を歩いている夢。

例え自分だけが光の世界に行っても意味など無いのだ。

今、此処で彼を誘えば来てくれるだろうか。

だが、そんな甘い考えなどいらない。



_____彼は、きっと光の世界にきてくれるはずだ。



蓮が必ず太宰のいる元に帰って来ると、彼は信じている。

だから、彼はきっと光の世界に来てくれるだろう。

蓮が、そこにいたいと願えば。

彼は、きっと。









『_____ねえ、太宰さん』









「………なんだい?」









強い風が吹き抜ける。

熱いものが目から溢れ出そうになるが、蓮はそれを必死に堪える。

別れだ、絶対に泣いてはいけない。

笑顔で、終わらせよう。

_____彼がいつも思い出す蓮が、笑顔でいられるように。

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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年11月24日 13時

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