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眠り姫に送る ページ18

目の前にいるのは、連れて帰って来てから一ヶ月経っても目が覚めない蓮。

ずっと、目の覚めない彼女。

消毒液の匂いの漂う医務室の中にある簡易寝台の上で眠り続ける彼女は、眠り姫のような美しさと、儚さを持っていた。

閉ざされ、開かれることの無い彼女の心の色を表すかのような紅蓮の瞳。

薄い唇はずっと血色が良く、桃色に色付いていたのに、今では薄い青みがかかった色へ。

藍色の髪は薄暗い照明に反射し、彼女の美貌を更に引き立たせる。

すらりと伸びた手脚には程よい筋肉が付き、貧民街から出た時とは考えられない程健康的な体に。

布をかけられた下で彼女の薄い胸が上下し、それだけが彼女の命がまだ尽きていないことを証明していた。









「____蓮」









蓬髪の男__マフィアの最年少幹部の太宰は、ただ一人、彼女を見て呟く。

彼の鳶色の瞳には誰もが恐れる程の覇気がなく、ただ後悔と深い謝罪、そして微かな恋情が覗けた。








《____太宰、其方が蓮へ抱いておる感情に気付いてないからじゃ》









尾崎に言われた言葉。

蓮を連れて帰って一ヶ月、ずっと考えて来た。

だが、考えれば考える程に深く絡みついて解けなくなる自分の心。


自分の心を理解したくて、考え続けた。

でもその一方で、理解したくない自分もいた。


矛盾する自分の気持ちが腹立たしくなり、何故か無性に虚しくなった。


その感情がまるで、気付いて、とでも言っているようで。









《____………助け、て………》









あの抗争の中で、血だらけになりながら生き延びた彼女。

気紛れで拾っただけの彼女は、今まで見たことの無い瞳をしていたのを覚えている。









《____殺して、くれ》









相反した言葉を、まるで縋るように言い放った彼女に、少しだけ興味が湧いた。

独房の中で、狂ってしまう程に血の匂いがこびり付いて取れないその空間でも、彼女の瞳は唯強い“憎悪”の感情を持ち、輝いていた。









《……太宰幹部が俺を補佐じゃないと言ったのでしょう》









振り向かずに言い放った彼女の声は震えていて、自分の非力さを噛み締め、憎み、そして呪っていた。

認められる事を望んだ彼女。



認められる為に任務に出た彼女。

蓮をこんな状態にしたのは、自分なのだ。

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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年11月24日 13時

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