彼奴も嘘吐き ページ33
「え…………それだけ?」
状況の理解できていない鼠の言葉に、蓮はあっけからんと頷いてみせる。
そして、証言台を人差し指で叩敲する様に音を鳴らす。
『まだ、嘘を付いている人はいるよ。
それは____』
そう言って蓮は黒手袋を嵌めた手で真っ直ぐとある人物を指差した。
その指の先にいるのは____
『____アリス。
君だ』
****
「あら、弁護士さん、私を疑うの?」
アリスは、慌てる様子もなく、蓮の腹の底を見透かす様に蒼穹の瞳を細めた。
挑発的に言ってきたアリスの瞳を、紅蓮の瞳でぶれる事なく射止める。
『俺の推理だと、アリスも嘘吐きになる。
まあ、でもあってるでしょ?』
アリスはフッと蓮の言葉を鼻で笑い、「その証拠は?」と年不相応に嗤う。
「その顔は気に入らないよ」と蓮は頰を掻きながら言った。
『理由はさ、簡単な話だよ』
薄い桃色の唇から言葉を紡ぎ、「ね、女王様?」と嘲弄すると、女王は、「真逆」と驚いた顔をする。
「それは図星だね」と女王を嘲笑い、アリスに向き直る。
先程までの飄々としたアリスの態度は無くなり、額に薄っすらと冷や汗を浮かべていた。
__
『____未だ噓吐きが居るからさ』
蓮の言葉に、傍聴席にいたもの達が一斉に騒ついた。
判事が、「静粛に!」と叫ぶが、それを聞くものはいない。
女王は唇を噛み、アリスは何を考えて居るのか目を伏せた。
「噓吐きは誰だというの?」
アリスは伏せていた目を開け、疑う様に此方を向く。
その顔は、まるで暴露るな、と願って居る様であった。
「それはね」と蓮は楽しそうに笑う。
その笑みに、アリスは全身の産毛が逆立った様な錯覚を覚えた。
『____仔犬君だよ』
____裁判は未だ未だ、中盤戦だ。
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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね!めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年10月29日 19時