夢に見たその待遇 ページ4
『_____え』
「だから、一人で完遂できれば認めてあげるよ」
突如言われたその言葉。
今、目の前の男は認める、と言ったのか。
『______ぁ』
其れを認識した瞬間、唇が震えた。
紅蓮の瞳を見開き、思わず揺れる瞳で太宰を見上げる。
太宰は何を考えたのか、鳶色の合わせていた瞳を逸らした。
__夢にまで見たその待遇。
特に思い入れは無いものの、彼に認められることにこだわり続けた。
任務を人一倍こなして、マフィアきっての体術使いの中原に師事してもらい、
尾崎には異能の使い方を学び、時には森に戦術の考え方も教わった。
そこまでして認められようとしてきたのだ。
これほどの好機、見逃すことなどあり得ない。
『__この命をかけても、この任務、成功させます』
覚悟を決めた蓮の声に、太宰は微かに整ったその顔立ちに複雑な感情を見せた。
其れが何によるものなのか、蓮には到底想像もつかない。
だが、太宰は「そう」と、短く言って踵を返し昇降機へと戻った。
「……ああ、言ってなかったけど、別に絶対に一人でやれってわけじゃ無いよ。
無理そうだったら、私を呼んでいいから。
………まあ、君は私を呼ぶことになるだろうけどね」
『………絶対に一人でやり遂げて見せます。
太宰幹部の助けは要りません』
昇降機の中で交わされたそのやり取り。
互いに張り詰めた雰囲気を醸し出し乍ら無言で過ごす。
扉が開いた瞬間、其処には黒服がいた。
『________』
無言でいると黒服と目があった。
その人物はびくりと肩を揺らし、「どうぞ」と震える声で昇降機の扉を抑えた。
『太宰幹部、お先にどうぞ』
「………君があの任務を一人でこなせるわけが無いよ」
『俺は、絶対に一人でやりますよ。
太宰幹部の手なんか借りなくても、できるんです。
……ですから、ちゃんとやり遂げたら、認めて下さいね』
「勿論さ」
其れだけ交わして、互いに違う方向へと進む。
蓮は任務を確実に成し遂げることを胸に。
太宰は、蓮への複雑な感情を持ち続けて。
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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね!めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年10月29日 19時