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拝啓、チェシャー猫 ページ19

『____アリスによる殺害』








ポツリと呟いて見せれば、そうとしか思えなくなってくる。

否、確実にそうであろう。

然し、アリスによる殺害だとすれば不明な点が多過ぎる。

此処には誰の気配も無い。

アリスは恐らくこの場にはいないはずだ。

若しかしたら遠い距離も可能なのか、と思ったが、直ぐに其れはおかしい点に気付いた。

もしそうだとしたら、既に自分は精神操作にかかっていてもおかしく無い。

何か、条件が必要なのだろう。


【信者】から離れ、階段を上っていく。

一回目と同様に、四階までたどり着いた。

あの【信者】以外は全て前回と同じように進んだ。

一回目と同じであれば恐らくあの【信者】以外皆死んでしまっている筈。

そして____









『此処から、狂っていった』









大きな西洋風の扉を開け、扉にもたれかかっている死体を退かす。

相変わらずの激臭に、鼻に皺を寄せるが、ずんずん中へ入っていく。

前回と同様に、部屋を一通り調べ上げると、部屋を出る。

すると____









『分かってる手には引っかからない』









前回と同様に銀色の槍と矢が飛んでくる。

異なるのは両方打ち落とせたという点のみ。

完全に防いだ此処からの状況は分からない。

唯一つ、確かなのは。









『今回、俺は狂ってない』









掌を握り締め、真紅の瞳に強い光を宿す。

その視線の先には。









《____ヤァヤァ。
エセ教祖のお客様じゃァ無いですか。
よく此処まで生き残れましたねェ》









目の前にいるのは、一匹の猫であった。

厭、猫と呼んでいいものなのかこれは。

吸い込まれそうなほど大きく美しい黄金の瞳と、丸い手足にふわふわの尻尾は間違いなく猫の物。

唯、其処に異形のトッピングを加えるのは体毛の色であった。

紫色のシマ模様の独特な毛色。

そして、喋る事により覗く口元からは、何によるものかわからない血で汚れ、見る者に忌避感を与える程の鋭い牙が揃っていた。









《ネェネェ、お客様。
お名前は?》









長い尻尾をゆったりと揺らし誘うように喋りかけてくる猫。

警戒心を落とさないまま、蓮は心の焦りを悟らせない様に答えた。









『俺は蓮だ。
アンタは、猫さん?』









《ヌフフ、イエイエ、僕の名前ですかい?》









猫とは思えない程口を歪ませて笑っている様な表情を作る猫。

嫌悪感を持ち、瞳を細めた。

猫は、瞳孔を細めて笑った。









《ヌフフ。
僕の名前は【チェシャー猫】です》

不思議の国の住人たち→←【信者】という狂信徒


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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね!めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:鸞宮子 瑩 | 作成日時:2019年10月29日 19時

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