完結された存在 ページ41
比喩では無い、何かに掴まれた様に、体が持ちあげられた。
此れが、リチャードの異能力か。
見ることのできない何かに持ち上げられ、手から拳銃が離れた。
音を立て落ちて行った拳銃をリチャードは笑いながら拾い、弄ぶ。
其れを無言で見つめた。
数分たち足が痺れてきた頃、リチャードは突然、此方に向かって目を見開く。
その顔は、何か見てはいけないものを見てしまった、そんな顔であった。
「君は、一体何を見てきたんだイ？
僕には、オレには分からなイ。
君は、深すぎル。
常人では理解できないほどにネ。
何が、君を、そう……狂わせたんだイ？」
震える手で、拳銃を此方に向けるリチャード。
瞬間、蓮を捕まえていた何かに力が篭り、腕が鳴ってはいけない音を鳴らす。
もうちょっとで腕が砕けるのではないか、という所で何かの力は抜け、代わりにリチャードに顔を近づけさせられる。
息がかかるほどの距離まで近づけられた所で、固定された。
拳銃が胸部に触れる。
これで撃たれれば即死だろう。
リチャードは、薄い隈の浮かんだ目をこれでもかという程見開き、薄青の瞳に蓮を写す。
「僕は、君が怖イ。
君は、有能で、優秀だけド……
君を、【信者】には迎えられなイ」
蓮は、リチャードが何を言い続けているのか、理解が出来なかった。
彼は、自分の中だけで終わっている。
誰かに其れを干渉されることも、干渉させることも望まない、許さない。
歪で相容れない存在であるリチャードに、蓮は、薄く笑みを浮かべた。
「僕には、もう無理ダ。
君は、蓮という少女は………！
何処に、君は、オレに時間を……
＿＿＿＿君が！僕を！オレを！殺ス！！」
銃声が、聖堂に響いた。
蓮を捕まえていた、“黒い腕”が、彼女を放す。
勿論、蓮は重力に逆らい落ちていく。
ベシャ、と、抵抗する事なく落ちた蓮。
リチャードは恐る恐る蓮に近付いた。
死人の様に動かない彼女に、リチャードは安堵の息を漏らした。
そして、黒い腕で彼女を再び持ち上げ、光の中に包まれる様に掲げた。
「君の命も儚いものだっタ。
自分を責めなくていいヨ。
どうせ、ここにきた以上、君はここにいる【信者】と同じ様にこうなる運命だったんだ」
諦めた様に溜息を吐いたリチャード。
彼が聖堂に背を向け、歩き始めた時。
『＿＿＿＿それってつまり。
君が【信者】を皆殺したって事だよね？』
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Cabby - 太宰さんカッコいいですよね！めっちゃ好きです (2019年10月30日 22時) (
レス) id: b937c10b42 (このIDを非表示/違反報告)
akane_朱音 - え、太宰さんかっこよすぎない…?好き() (2019年10月29日 21時) (レス) id: 307f7ba1f6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鸞宮子 瑩 | 作成日時：2019年10月29日 19時
