Moratorium Love_Hikaru.Y

モラトリアム-42 ページ42

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『大ちゃん』






涙を拭いて笑顔を作る






大｢おう、帰ろっか｣






『カラオケとか久々だね？』






大｢わりぃ。カラオケ中止｣






『え？なんで？』






大｢もっといいとこ連れてってあげる｣






大ちゃんについて歩くけど、それは家とは反対方向






大｢よいしょっと｣







『え、いいとこってここ？ただの河川敷じゃん』







家と反対方向だからあまり来たことがない河川敷







大｢まぁまぁお前も座れって｣






『よいしょっと』






大｢俺さ、何かあったらいっつもここに来んの。ぼーっとここから景色見てたらさ、何か気が楽になんだよ｣







『ふーん』






確かにそうかもしれない

ただの河川敷なのに、何か落ち着く







大｢作り笑いなんかしなくていいから｣






『え？してないよ』







大ちゃんは、気づいてたの？







大｢強がんなよ。全部分かってるから｣






大｢俺の前ではさ、泣いていいの｣






その言葉で、スイッチが切れて



わんわん泣いた



泣きじゃくる私を、大ちゃんは抱きしめて



思わず離れようとしたら






大｢...今だけこうさせて｣






なんて言うから、




今だけ。今だけ




そう自分に言い聞かせて、大ちゃんの背中に腕を回した

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