Utopia-47→Mer ciless ページ12
……ロヴィは泣く泣く祖国様の居場所を告げてしまうと、口元を綻ばせつつ奥に向かった。
…一番最悪な事態なんじゃないか。コレ。
「……ッ!……クソッ……!!」
奥に居たギルが小さく吐き捨てた。
会長は淡々とベッドの前まで進んで歩みを止める。光のない瞳でベッドを見下ろすとベッド下の教科書たちを蹴り飛ばした。
……蹴り飛ばした本のうちの一つがざざざと擦れた音を立てる。
じりじりと迫った彼は、罠にかかった獲物を確かめるようにベッドの下を覗き見てしまった。
「………見ぃつけた。」
「………ッ!!!?…」
あまりの恐怖から、心拍数が祖国様の様子に呼応するように速度を増していく。
俺がもっとちゃんと演じられれば良かった……俺が庇えば良かったし、庇いたかった。
「……探したんだぞ、菊。あんまり心配かけるなよ…“主人”が俺で良かったな?」
「……………い、や……皆…さ………」
主人…って事は、祖国様は………
俺の悪い予感は良く当たるんで評判だったから…今の俺の予想も当たってる可能性は低くないと思う。
瞳孔の開いた悲痛に顔を歪めた貴方の姿が酷く映る。
「………A、く……た…すけ……」
…そう、彼は俺に助けを求めようとしたのだ。
覚悟を決めて二人の間に立とうとした刹那、
バギッ…!!
そう、醜い音が轟いた。
目の前の状況に絶句する他無い。彼の口から吐き出された血が会長がどれ程の力で殴ったのかを物語っている………
「……黙ってとっとと来い。菊。」
会長はぐったりとした祖国様を引きずって外に連れて行く。
………いくら眉毛でも、それは許せないよ。
今止めに行ったら確実に死ぬ。
ギルたちに事情とやらを聞いて確かめてから助けに行く方が堅実だろうから。
ぶん殴りたい気持ちを頑張って抑えて、無慈悲な会長を見送った。
Utopia-48→Herr und Diener(主と下僕)→←Utopia-46→Uneasiness
46人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
†鎖羅†(プロフ) - 英領な妖精さん» そう言って頂けると嬉しいです(´∀`*)よく加減が分からなくなるので(( これから夢主くんとの絡みが増える&秘密が明らかになる(?)予定ですので!お楽しみになさってください((`ω´*))) (2017年3月15日 20時) (レス) id: b90b5d86ea (このIDを非表示/違反報告)
英領な妖精 - †鎖羅†さん» 眉毛のゲスっぷりが最高です(●´ω`●) (2017年3月15日 16時) (レス) id: a88b8887f6 (このIDを非表示/違反報告)
†鎖羅†(プロフ) - 英領な妖精さん» またまたコメントありがとうございます(・ω・´)これからも頑張って眉毛をゲスく出来るように頑張りますです((え← (2017年3月12日 16時) (レス) id: b90b5d86ea (このIDを非表示/違反報告)
英領な妖精 - 待ってましたー( *´艸`) (2017年3月10日 22時) (レス) id: a88b8887f6 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:†鎖羅† | 作成日時:2017年3月10日 21時