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登坂さんがわたしの腰に手を回して、引き寄せる。

「誘ってんの?」

その言葉を聞いた瞬間、

恥ずかしくて、ほっぺが熱くなる。

登坂さんの腕の中。

顔を見られなくて、よかった。

絶対、真っ赤になってる。

『…あの、ほんとに、ただ、登坂さんの方を見ただけで』

「知ってる。だけど、これ、Aちゃんのせいだから、もうちょっとこのままね?」

私のせい。

この暖かい温もりと、登坂さんの匂い。

呼吸をするたび、倒れそう。

とても寒い日の午前3時。

私はすごくあったかくて、

すごく幸せ。

登坂さんの腕の力が強くなる。

「離したくなくなる。…あったかくて」

あったかくて?

私は思わず笑ってしまう。

『あったかいですか?ふふっ』

「待ってね。……よしっ」

気合いを入れて、体を離す登坂さんに、

吹き出しそうになる。

『寒い時はいつでもどうぞ』

なんて言葉も自然に出る。

「そんなこと言っていいの?」

『寒い時だけです』

ほんとは別にいいんだけど。

きっと、そんなの求めていないだろう。

「あはは。じゃあ、オレ専属のカイロだね」

登坂さん専属カイロ。

専属という言葉が嬉しい。

登坂さんのカイロが私だけでありますように。

『あ、もうすぐ着きます。そこを曲がって2件目のマンションです』

楽しい時間はすぐに過ぎてしまう。

次はいつ、会えるんだろう。

約束をする間柄じゃないから、

次があるのかもわからない。

1日1日が、奇跡なんだ。

「意外と近かったね」

今、登坂さんはどんな顔をしていますか?

少しでも、寂しく思ってくれたら、嬉しい。

急に歩みを止める登坂さん。

手を繋いでいる私も、引っ張られて止まる。

チラッと顔を見ると、目が合う。

『あの、登坂さん…』

どうしていいかわからず、名前を呼ぶ私に。

「Aちゃん…すっげぇ寒い」

そう言ってじっと立ち尽くす。

これは多分、そう。

カイロに、ならなきゃ。

私は両手で登坂さんを包む。

登坂さんも、私を包み込んでくれる。

どちらがカイロなんだかわからないよ。

だって、私の方があったかい。

「登坂さんが、好きです」

心の中で言ったつもりの言葉が、

両耳から聞こえてきた。

その瞬間、腕の力が強くなって、

少し苦しくなる。

「ん。知ってる」

よかった。

ただのファンだと思ってる。

そうだよね。

一般人の私が、超人気者の登坂さんに告白なんて、

ありえないよね。

15 臣→←13



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設定タグ:登坂広臣 , 三代目 , 岩田剛典   
作品ジャンル:恋愛
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みきてぃん(プロフ) - Koiruneiroさん» こちらこそーっ(>人<)いつもコメントありがとうございます!頑張ります( ´∀`) (2018年2月6日 10時) (レス) id: 6b77dae2b2 (このIDを非表示/違反報告)
Koiruneiro(プロフ) - みきてぃんさん、最高です(*^.^*)みきてぃんさん、ありがとうございます(。-人-。) (2018年2月5日 19時) (レス) id: a2840c445d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みきてぃん | 作成日時:2018年1月30日 3時

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