リアル

☆45 ページ45

同じ家に帰る。

さよならって言わないでいいなんて！

なんて幸せ！

でも実は、私は全然この生活に慣れていない。

もう1週間になる。

おみくんのお休みは今日で2回目。

一緒に起きて、

同じものを食べて、

一緒に出かけて。

これまでの不安は嘘みたいに消えた。

おみくんは、私をとても大事にしてくれるし、

私もおみくんのことを大事に思ってる。

すごく、幸せ。

「ねぇ。話！いい？」

突然のフリにも、

笑顔で対応できる。

『なあに？おみくん』

前なら改まって話があるなんて言われたら、

心の中で泣いてたよなぁ。

もう会えないって言うのかな？って

いつもビクビクして。

正面に座ると、

おみくんはなぜか急に姿勢を正す。

慌てて私も同じようにしたけど…

え、何？ちょっと。

久しぶりに不安なんですけど。

ドキドキと早くなった心臓の音は、

おみくんにも聞こえてる？

「A、めっちゃ緊張してるじゃん」

おみくんが笑う。

からかうような顔で、

それもまた、美しい。

『だって、かしこまってるやん』

私の方はきっと、引きつった笑顔。

あー、どうか、嫌な話じゃありませんように。

願ったって、無駄だけど。

だって私、最近神社に行ってない。

「ん。一緒に住んで1週間なんだけど、どう？

慣れた？今の生活」

『うん。毎日おみくんと過ごせて嬉しいよ』

「そっか。そりゃよかった！」

『うん…』

え。

終わり？

なんやこれ。

変なの、おみくん。

沈黙が続く。

え、と。

『終わり？…ご飯、作ろかな？』

立ち上がろうとすると、

慌てて腕を掴むおみくん。

「待って。お願い。ちょっと…うん、

こっからが本番」

なんだろう、本番。

なんなんだ？怖い。

この1週間、私はとても楽しかった。

おみくんもそうだと思ってた。

でも、違うのかな？

何を話すのかな？

どうか、どうか、

悲しい話じゃありませんように！

「んー、あのさ…えーと」

なんだなんだ、おみくん。

どした？どーした！おみくん。

「あー、ちょっと、まあ、うん。

これからも！一緒に…

ずっと一緒に美味しいもん食べよーなっ！」

『え、なにそれ！』

食べるよ！

食べるやん！

なんだこれ。

滅多にないおみくんの天然発言に、

ひたすら笑った。

おみくんも笑った。

楽しかった。

こんな日々がずっとずっと

続けばいい。

「とりあえず、オムライス作るっ！」

なぜか片手で顔を覆ってたおみくんは、

オムライスと聞いて、

嬉しそうに笑った。

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