リアル

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窓の外には

都会の灯りが戻ってきた。

おみくんは、

オレも一緒にいたいと言った。

会話はそこで途切れてしまった。

私は黙って前を向いていた。

静かに流れる音楽は、

ちょうどいいやさしさで空気を包む。

もう外は星の明るさじゃなくて、

何色も重なった灯りが

遠慮なく飛び込んでくる。

そして車は、とても背の高い、

頑丈そうなマンションに入っていった。

「ここに住んでるんだ。

朝、送っていく」

おみくんのマンション。

緊張する。

たくさんのセキュリティを解除して、

ドアの前に立つ。

おみくんは鍵を開けて

手招きをする。

私は動かずに立ちすくむ。

だって…

高級感に飲み込まれる…。

私、大丈夫なんだろうか。

ああどうしよう。

庶民の私がなんて場違いな。

「どした？上がって」

おみくんの声に、

そうだ！誰かに見られたら大変！

そう思って慌てて中に入る。

部屋中に、おみくんの香り。

クラクラする。

「なんか、飲む？」

『あ、じゃあ、お水』

そういえば、喉はカラカラで、

私は一気に飲み干すと、

改めて部屋を見渡してみる。

ひろーい。

きれーい。

おしゃれー。

なんかもー、

雑誌やん。

おみくん、あんなボロ屋に

よく足を踏み入れたな。

今までごめん。

なんて、心の中で謝って。

気がつくとおみくんは真正面。

肩に手をやると、

そっと唇を奪いにくる。

おみくんのキスは

どうしてこんなに

気持ちいいんだろう。

長い長いキス。

背中に回された手が

服の中に入ったのはいつだろう、

繊細な指は脇腹から

ピアノを弾くみたいに

リズムを奏でて登ってくる。

サラサラと肌を撫でて動く指先は

すこし戸惑いながら胸を包みこむ。

だんだんと中心を刺激する指先に

今まで漏れたことのないような

甘い声が聞こえる。

恥ずかしくて死にそう。

「A…ずっと一緒にいてくれる？」

おみくんの声も

いつもの数倍甘くて。

もう首を縦に振るだけで

精一杯だった。

目を合わせられないでいる私を

おみくんは軽々と抱きかかえて、

ベッドにそっと寝かせてくれる。

「…A好きだよ。あの日からずっと」

『おみくん…大好き』

目を瞑って、

おみくんに集中する。

声も。呼吸も。温もりも。全部。

こんなにあったかくて、

こんなに愛しい。

おみくん。

ずっとずっと…

「A…愛してる」

ああ、おみくん…

愛してる。

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