リアル

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部屋に戻ると、

登坂さんは電話をしていた。

私の顔を見ると慌てて切る。

えー、もう、なんやねん。

無言でカフェオレを差し出す私。

「ありがとう」

それを受け取る登坂さん。

今日はなんだかいつもと違う。

…違う。

なんで？

会いにきてくれたのに

なんだかぎこちない。

思い切って聞いてみようか。

抱きしめてくれたし、

キスもしたけど。

何か隠し事をしている。

美味しそうにカフェオレを飲んで

微笑んでるあなたは、

やっぱり綺麗。

それはいつも通り。

なのになぜかよぎるのは、

少しの違和感。

ざわざわと騒ぐ気持ちは

やり場もなくて

聞いてしまえば

帰ってくるかもしれない答えを

ただ、あなたを覗き見て

探すだけの私。

こういうのは

とても疲れる。

私は本来

このタイプじゃない。

この人は私を

どうしてか

こんなふうに変えてしまう。

少しだけ減らせたらいいのに、

好きって気持ち。

「ご馳走さま。美味しかった！」

無言でカフェオレを飲み干して

美味しいの？

『なんだか、いつもと違う気がする』

ん？声に出てるな、これ。

まあいいや。

気になるんだもん。

「え、あ…、うん」

気まずそうに頷く登坂さん。

そして、続く言葉を待つ私。

助け舟は出してやんない。

何を隠してるの？

しばらくの沈黙。

そしてやっと

口を開く。

「こんなこと初めてで…困ってる」

おい。

主語が抜けてる。

何が言いたいんだ。

引き続き黙る私。

意地悪かな？

仕方ないよ。

登坂さんの話は

始まったばかりだもん。

じっと私を見つめて、

口をパクパクと開いてから

目をギュッとつむって。

登坂さーん。

そんな言いにくいこと？

怖いわ！

『もう、会いたくないとか？』

結局聞いてまうねん。

待てなくて。

せっかちでごめんね。

関西人なもんで。

「そんなわけない。

今日だって会いたくてめっちゃ頑張ったのに」

子どもか！

…嬉しいけど。

『私には言えない話で悩んでんの？』

「言えないっていうか…言えるけど

言いたくないわけじゃなくて、

なんとなく、オレいい大人なのに…」

『なんでも聞くよ！悩み、わけてよ』

私じゃ何もアドバイスできないけど。

それでも知りたい。

あなたの悩みを。

そして考えたい。

解決する方法を。

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