リアル

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怖いのは私だ。

どれだけのライバルが

いつかあなたを独り占めする子に

怯えながら応援しているだろう。

私は時々、あなたを独り占めする。

それはとても、

幸せだけど、怖くもある。

私の知らない、

同じ気持ちの誰かのことは

気にもしないで、

今日もやっぱり

あなたが好きだ。

しばらく抱きしめられて

あなたの匂いに

涙が出そうなくらい

刺激される。

「A…。どーしよ。離したくない」

見たこともない困り顔で、

登坂さんは笑った。

離さないでよ。

今この時間が、

現実なのか脳内で

作り出したストーリーなのか

わからないくらい幸せ。

「A…オレのこと好き？」

あなたほどの人が

ちっぽけなただの私に

こんなにも気持ちをぶつけてくるのは

どうしてなんだろう。

あなたの周りには

あなたのことを好きな

綺麗な子や可愛い子が

溢れているのに。

そんなあなたは今、

とても不安げな目をして

私を見つめている。

『登坂さんが好きだよ』

そういうと、

抱きしめる力はさらに強くなる。

あなたが好きと言えば言うほど、

不安になるのはなんでだろう。

「…よしっ、充電完了だ」

そっとカラダを離して、

ニッコリ微笑む登坂さん。

だからさ…、

笑顔にいちいち心臓が持たない。

今日は向かい合わせ。

登坂さんが目の前で微笑む。

だいぶ慣れたけど、

やっぱり綺麗で

一瞬息を呑む。

「この家、落ち着くー」

それは良かった。

『カフェオレ飲む？』

登坂さんの好きな甘さ

覚えたんだから。

「んー…あとで。もうちょっと顔を見てたい」

そんな綺麗な顔から

そんな言葉が出てくるなんて。

よほど面白い顔なのかと

落ち込むくらい。

じーっと見つめる登坂さん。

ん。

いや。

もうよくないか？

仕方なく私も

じっと見つめる。

…うん。

完璧やん。

綺麗すぎて。

落ち込むわ。

「ねぇ」

『ん？』

「…なんでもない」

いや、そんなことないやろ。

今日の登坂さんは、

少しおかしい。

「ごめん。やっぱカフェオレ、いい？」

『あ、うん』

なんや、なんや？

本当に…おかしいな。

ソワソワしてるっていうか。

キッチンでカフェオレの準備をしながら

考えれば考えるほど、

後ろ向きな私。

え、なんやろ。

もしかして、

やっぱり別れるとか？

でもさっき、好きって…

うー…わからん！

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