リアル

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一旦別れて

少し時間をおいて、

また会える。

そんなこと、

友達なら当たり前。

恋人なら当たり前。

でも、私たちは、

私と登坂さんは、

それがなかなか叶わない。

だって登坂さんは、

あの有名な、

三代目なのだから！

ふはははは。

そして私は！

その…

登坂さんの…

彼女なんだ。

だけど。

そんなことなんて、

忘れちゃうくらい、

会えない。

登坂さーん。

忘れてないですか？

私のこと。

もう、他の誰かが

彼女になってたりしませんか？

…一目惚れって、

理由弱くないか？

ネガティブは

恋と仲良し。

次から次へと湧いてくる

負の感情はとても強くて。

いつもいつも、

負けそうになる。

貼り直したポスターの

キメ顔の登坂さんを

見るたびに涙が溢れ出す。

どーせからかうなら、

もっと遊び慣れた人にしろよ。

私みたいな地味で真面目で、

恋愛慣れしてないヤツを

なんで…。

私の寿命は

あとどれくらい残っているんだろう。

このまま会えずに、

ネットかなんかで、

登坂さんの熱愛だの結婚だの、

そんなの見るくらいなら…。

ゴロンとコタツに横になると、

天井を見上げて、

ため息をつく。

「ため息ってさ…幸せが逃げるっていわない？」

見上げる天井に、

横からヒョイっと顔を出す、

大好きな、大好きな…

『登坂さん！』

呼ぶといつもの、

極上の笑顔。

「よ！…全然連絡くんねーから、無理やりスケジュール空けてきてみた！」

『いや、連絡なんてできるわけないじゃん！相手、三代目だよ？？』

そう言うと、

複雑そうな顔。

でもまた、すぐに笑って

「どうしてもその肩書きは消せないから、慣れて！んで、いつでも、寂しい時は連絡して」

そう言って抱きしめる

登坂さんの腕は、

するりと抜けることは

できないくらい

優しいけど、力強い。

「ねぇ、…オレ待ってたんだけど、Aからの連絡」

少しかすれたその声は、

簡単に、とても簡単に

私の心を掴む。

私、登坂さんが大好きだ。

緩んだ腕からすり抜けて、

私はスマホを掴むと、

初めて登坂さんに

メッセージを送る。

"寂しかった"→

すぐそばで鳴る、

登坂さんのスマホ。

着信の音、私と同じだ。

それすらも嬉しい。

登坂さんはスマホの画面を見ると、

不思議そうに私を見る。

そして、素早く操作をすると、

みるみる笑顔になってゆく。

そして私のスマホには、

→"オレも"

って返信。

泣き顔の絵文字といっしょに。

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