まっすぐ、つよく

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ご飯を食べながら数時間、

いろんな話をした。

二人はすっかり話し込んでいる。

隆二くんは優しい。

けして私を退屈にさせたりしない。

知らない話の時は、

何も言わなくても説明してくれるし、

興味を引くような話もしてくれる。

二人は前からとても気が合うらしくて、

会えば朝まで話し込んだりする関係らしい。

元カレと彼氏が実は友達だった、

こんな偶然が起こるなんて、

思ってもみなかった。

お酒にとても強い二人は、

みるみるジョッキを空けていく。

そして、とうとう閉店時間。

「じゃあまた、3人で飲もうぜ！」

あれだけ飲んだのに、

すっと立ち上がる臣くん。

「うん。今日は楽しかったよ。ごめんねオレまで。…二人だけで話したいこともあったんじゃない？」

隆二くんが聞くと、

臣くんが笑って言った。

「…Aの相手が隆二でよかったよ。すげーいいヤツ、ゲットしたじゃん！」

臣くんの声を聞くと、

鼓動が激しくなる。

…どうしよう。

隆二くんに、聞こえませんように…。

臣くんは私の方を見て微笑むと、

「隆二なら、Aのこと、安心して任せられるわ。…もうオレは、ただの友達だけど。…幸せにしてやって？」

「もちろん！全力で守るし、全力で幸せにする」

臣くんは、隆二くんに私を託した。

隆二くんは、私のことを幸せにしてくれる。

本当に私は幸せ者だ。

臣くんの友達で。

隆二くんの彼女で。

なのに私は、なぜか胸が痛い。

あの頃の私は、

臣くんが大好きで、

他の人なんか見えてなくて。

真っ直ぐ、一途だった。

今は…、

隆二くんが大好きだ。

優しくて、

可愛くて、

努力家で、

私のこと、とっても大事にしてくれる。

臣くんは、ただの友達。

そう自分に言いきかせないと、

不安になるような気持ちって、

本物なのかな？

「…行こっか」

隆二くんの手が、いつもみたいに、

手をつなごうと指に触れた。

だけど、私は、

反射的に避けてしまった。

「今日…、楽しかったね。二人が知り合いなんてびっくりしちゃった」

それをごまかすように、話し始める私。

私は今、私が嫌い。

「…しばらく離れてても、また仲良くできるっていいよね」

隆二くんは、気づかなかったみたいに、

ふつうに話してくれる。

「じゃあ、またな！」

臣くんは通りに出るとすぐに

タクシーを拾って帰って行った。

私はそれをじっと見つめていた。

隆二くんが笑顔の下で

なにを考えてるのかも気づかずに。

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