第５０夜 ページ7
アニタside
恐い、と言った私の言葉を聞いて
彼女は可笑しそうに笑う
「どうして．．．笑うの」
『え？．．．あぁ、ごめんなさい』
『他人から私はそうゆう風に見えてるのかな．．．
って思うと面白くて』
そう言うと彼女はまた笑う
「．．．貴女はもっと自分を大切にして」
「今日初めて会った私に言われても
仕方ないかもしれないけれど．．．」
『．．．善処はしてるつもりなんですよ』
『これでも．．．』
『でも私．．．自分を大切に、なんて教えられたことなかったんです』
「．．．え？」
『私が子供の頃に教えられたのは』
『”死んでも戦い続けろ”．．．ただこれだけでした』
肩に置いてあった私の手を優しくどかすと
彼女は窓により、外を．．．月を見上げ話始める
それはとてもとても悲しいモノだった
『神に選ばれた神の使徒．．．』
『この世界を守るために戦い続けろ』
『足を失っても這い続けろ』
『腕を失っても噛みつき放すな』
『首を落とされても鋭い眼光で相手を射抜け』
『目を潰されようと、その体を燃やし尽くされようと』
『殺意だけは消してはならない』
光を宿さない瞳で彼女は語る
なんの感情もないその横顔をみて思わず涙が零れた
『．．．私が生きれるのはこの戦場の中だけです．．．』
「．．．．．．」
『でも．．．ううん、だからこそ』
『死に場所くらいは自分で決めます．．．』
そう言いながらこちらを向く彼女は
優しげな笑顔で笑っていた
「死に．．．場所．．．」
『はい．．．一人だけでもいいんです』
『それこそ誰だっていい．．．』
『今みたいな綺麗な月の下で．．．』
『優しい風が吹く場所で』
『その誰かの笑顔を見ながら終わりたい』
「．．．．．．」
純粋な．．．気持ちなのだろう
大切なことを教えられず育ったはずの彼女は．．．
いや．．．だからこそ彼女はこんなにも強く
美しく育ったのだろう．．．
月明かりに照らされ笑う彼女は恐いくらいに綺麗だった
『．．．ごめんなさい、泣かすつもりなんてなかったんですけど．．．』
彼女のその言葉に、未だに流れ続けていた涙に気がついた
慌てて拭おうとすると、それよりも早く
彼女の冷たい指先が私の涙を
優しく掬った
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SHINKAI(プロフ) - さん» その言葉が私めの原動力でございますー！！ (2018年10月4日 18時) (
レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
- 面白かったです〜。更新頑張ってくださいねぇ〜〜! (2018年10月4日 17時) (レス) id: c9ef7ad056 (このIDを非表示/違反報告)
SHINKAI(プロフ) - 零斗さん» 有難きお言葉ですー！！更新頑張りますっ！ (2018年9月22日 12時) (レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
零斗 - とても面白かったです！これからも更新頑張って下さい！ (2018年9月21日 23時) (レス) id: 300461bf22 (このIDを非表示/違反報告)
SHINKAI(プロフ) - 雪見だいふくさん» えっ、えっ…めっちゃ嬉しいです…ありがとうございますっ！頑張ります！！ (2018年5月21日 7時) (レス) id: 1540b5aafe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：SHINKAI | 作成日時：2018年5月5日 13時
