懴悔 ページ4
千空を呼び出したあの日。
千空から『大樹が杠に告る』と報告があった。
あの2人ってまだ付き合ってなかったのか…。
是非ともその場にいたかったのだが、皮肉にもこの体では無理そうだ。
成功することなんて分かり切っているけれど、頑張れ、大樹くん。
じゃあ、千空と2人は一緒に来るに違いない。
時刻は16時。
もうすぐ部活が始まるだろう。
『…暇だな…』
そんな私の蚊の鳴くような小さな声は、病院内に響き渡る赤子の泣き声に掻き消された。
看護師さんが病室に入ってきて、点滴の時間だと知らせてくれた。
私は車椅子に乗せられ、診察室に入った。
30分ほどの点滴後、また真っ白な世界に連れ戻され、千空の訪問を待った。
この生活に慣れてしまった私は、孤独と共存しているようなものだ。
寂しい。
多分きっと気の所為。
なんだか外が騒がしい。
眠っていたら、病室の外が騒がしいのに気付いた。
叫び声…?
何かから逃げるように病室の前を走る少女。
その少女が、勢いの余り転んでしまった。
『あ…そんなに走ったら危ないよ、だいじょ…』
"大丈夫?"
そう聞こうとしたが、私は声が出なかった。
その少女を包み込む緑の光。
その光に飲み込まれた少女は___
『…ひッ…!!』
小さく悲鳴が出た。
その少女は、目を見開いたまま石と化していた。
その光は院内に混乱を招き入れた。
勿論私も例外ではないわけで、突然の事に何もすることが出来なかった。
ただ、あの声が一つ。
ただ、あの話が一つ。
ただ、あの笑顔が一つ。
私の脳裏をよぎった。
彼との約束____
__、果たせなかったな…。
私は、どこまで神様に嫌われているのだろう。
きっと私の前世は神様の逆鱗に触れることでもしたのだろう。
今更許して下さいなんて無粋なことは乞わない。
でも、もう少し私を"普通の女の子"にしてくれなかっただろうか。
当たり前の日常を、当たり前にしてくれなかっただろうか。
そう思うには、遅かったかな。
速かったかな。
背伸び、し過ぎたかな。
失うまでは、こんな尊い日々を愛せなかった。
これは、私への罰なのだ。
この先、私はどうなってもいいから。
だからどうか、どうか神様。
彼らに祝福を__。
___彼らに幸運を。
そうして私は意識を手放した。
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月見(プロフ) - まーさんさん» 早速コメントありがたい限りです!ご期待に添えるよう頑張りますので宜しくお願いします! (11月1日 7時) (レス) id: 2f2ae5a510 (このIDを非表示/違反報告)
まーさん - 続きめっちゃ気になります!楽しみに待ってますね! (10月31日 23時) (レス) @page4 id: 3f806a558d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:月見 | 作成日時:2023年10月30日 11時