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「それにみんなさっきの綺麗な子に話聞きたそうにしてたやん」
しれっと聞き耳を立てていると、リカのその一言で全員が勢いよくこちらを見る。
何故見られたのかわからずに首を傾げると、数人が悩ましげ表情に変わった。
「でもなぁ...」
「お願い、この通り！」
知らぬところで生贄にされている気がしたのだが、彼女たちの間では話が纏まったみたいで、立ち上がったリカがみんなにお礼を言っていた。
「自分ら、着いてきぃ」
そうしてやってきたのはなにわランドの城だった。
彼女に案内されるまま城の中を進んでいく。
「下になにかあるの？」
「でも、さっき調べた時は行き止まりで何も無かったぞ」
「と、思うやろ？」
ガコン、とリカが仕掛けを動かすとそのまま下に下がっていく。不自然な空間だとは思ったが、仕掛けエレベーターになっていたようだ。
「ここが、うちらの練習場やで」
「これは...」
広がる光景に息を飲む。
彼女たちの練習場と言われ連れてこられたのは、どこからどう見ても一般市民が作れるとは到底思えない施設だった。
＿＿＿＿＿＿
「あの子、元気そうだったよ」
暗い部屋の中、所々から聞こえる機械音に負けるほど弱々しく呟いたのは、神門に羽風薫と名乗った男だった。
「そうかよ」
灰色の髪の少年がそれに対してぶっきらぼうに答える。
病院着のような服を身につけた少年の腕は痛々しく傷ついており、そこから何本もの管が伸びていた。
「晃牙くんは今終わったところ？」
「おう。さっきアドニスが入っていった」
「そっか.....零くんは？」
薫がそう聞くと、晃牙と呼ばれた少年は緩く頭を振る。
薫はそう、とだけ呟くと苦しげな声が聞こえてくる奥の壁を悔しげに見つめた。
「あの子が、神門がここに来ないためにはどうしたらいいんだろう」
「無理だろ。連れてこられなくたって、あいつはここに来る」
「...そうかな」
「そうに決まってんだろ。俺はあんたよりあいつとの付き合いがなげーんだぜ？それくらいわかるっての」
「あの子が全部忘れてても？」
「あたりめーだろ。根本は変わらねぇんだからよ」
かつて勢いのあった少年は境遇のせいか荒い口調に反して声音が大人しい。
それに未だに慣れない薫は無意識に顔を歪める。そして今この場にいない後輩と、大半を請け負ってくれている最年長に思いを馳せた。
「きっとあの子は救おうとするんだろうね、こんなどうしようもない俺たちを。それが心底愛おしいのに、辛いよ」
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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