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「気づかれちゃったね」
「そうですねぇ」
一斉にこちらを見た彼らがぽかんとこちらを見上げている。
内緒話をするみたいに顔を傾けた薫に同じように返した。
「わざわざ送って頂きありがとうございました」
「気にしなくていいよ。俺が好きでやったことだからね...あ、そうだ」
薫はそう言った後、ふと思いついた表情で顔を近づけてきた。
そのまま首の裏に手を添えられ、咄嗟に仰け反ることも出来ずに耳元に口を寄せられる。
「ほんとは連絡先をあげたいんだけど、できないからね」
その言葉の意味を理解する前に微かにリップ音がなる。
耳元の柔らかな感触に驚いて薫の胸元に手を当て慌てて離れた。
「なん？！？！！」
「虫除けだよ。それじゃあ俺はもう行くね」
「え、あ、はい...？」
混乱したまま耳を抑える私に笑うと、彼はひらりと手を振った。
「それじゃあ......またね」
そう言って去っていく薫の背を見送る。
しばらくはぼうっとその場にたっていたのだが、すぐにハッとして下を見ると、顔を赤くしたり頭を抱えたり何やらきゃあきゃあと騒いでる女子陣が見えて、しまったと思いながら顔を俯かせた。
_____________
「で？何やってたんだよ」
じとりとした塔子の瞳から目をそらす。先程試合になった経緯を聞いて自分だけ随分楽しんでしまったことにも居た堪れなかった。
何やら話を聞きたそうな顔でこちらを見つめる相手チームを気にせずにいる様は正直すごいと思う。
現実逃避のように考えながら、これ以上怒らせてはならないとこちらの事情の説明もした。
「呆れた...貴方そんなことしてたのね」
「こっちは大変だったんだぞ」
「す、すみません...」
呆れる夏美と困った顔の一郎太にそう言われ肩身が狭くなる。
「大体からして明らかなナンパについて行くなよな。吹雪じゃあるまいし」
「えっ」
「あのかわいい顔でねだられたら断れなくて.....」
「で、楽しんで時間を忘れたと言うわけか」
「う.....」
土門が苦笑しながらサラッと吹雪に毒を吐く。吹雪は唐突な流れ弾に驚いていたが、スルーして言い訳を漏らすと今度は鬼道にトドメを刺された。
チラリと周りを見ても流石に庇護してくれそうな人は見えない。
流石に未だ顔を赤くしている後輩たちを頼る訳にも行かず、最後の頼みの綱としてキャプテンに視線を移した。
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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