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すると周りが一斉に神門に視線を向ける。
彼女は瞳子の言葉を聞き、ゆったり頷いた。
「はい。もとよりそのつもりです」
「神門の新必殺技も通用しそうだしな！頑張れよ！」
「ふふ。任せなさい」
嬉しそうに笑う塔子に対して神門もにこやかに頷く。
瞳子はそれを見つめた後、リカにも視線を向けた。
「リカさんも、チャンスがあれば積極的に攻めるように」
「もちろん、任せとき！！」
力強く頷いたリカを横目に、吹雪は唖然と神門を見上げていた。
＿＿＿＿＿
「点を取るんだ...僕が.....」
薄暗い部屋の中、頭を冷やすため顔を洗いに来た吹雪が鏡を見て呟く。
昔のこと、父と母、そして片割れを奪った雪崩の直前の会話を思い出していた。
「FWもDFも完璧に...」
そう呟いた時、脳裏にふと神門の言葉が過ぎる。
"気楽に、楽しんでやったらいいじゃないですか"
『楽しんで』
それは昔アツヤも言っていた。それに雷門と出会う前だって、楽しんでサッカーをするのが吹雪の信条だった。
「楽しんで...」
それを口にすると、僅かに心が軽くなる。
そうだ、楽しまなければ。サッカーは楽しむものだ。
相手のデザームが楽しむならば、こちらだって楽しんでいいはず。きっと神門にそういえば、彼女は笑いながら頷いてくれるだろう。
気持ちを切り替えて頬を軽く叩く。
完璧を目指す。それは変わらない。
でもそれ以上に、楽しんでいこう。
＿＿＿＿＿
後半戦キックオフ。
攻め込むイプシロンのボールを吹雪が取り、風丸にパスが渡る。
「風丸！」
パスを受け取った風丸が疾風ダッシュでイプシロンを抜こうとするが、またイプシロンにボールを取られてしまった。
しかしそれもすぐに吹雪が取り返す。
「っお前は...引っ込んでろ！」
荒々しくマキュアからボールを奪い、そのまま駆け上がる。
「サイドから崩せ、吹雪。パスだ！」
「点を取るには俺が必要なんだろ！」
「おい、待て！」
吹雪は鬼道の呼びかけにも答えず一人突き進んでいく。
「吹雪」
だが、隣に並んだ神門が声をかけると少しだけ正気に戻る。
『楽しんで』
先程の決心が戻ってきて、アツヤは渋々ながらも神門にパスを繋いだ。
「邪魔ですよ」
「なにっ！」
前に来たDFを軽々と抜いて行く。
神門がちらりと横を見ると、アツヤがパスを寄越せと言わんばかりにがんを飛ばしていた。
「全く...」
呆れながらも、神門はデザームのすぐ前に来たところで吹雪にボールを回す。
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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