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「見えない、なんて」
唖然としたゼルの呟きに見向きもせずに、神門はゴール前に向かう。
「(相手ゴールキーパーに隙が見えない。いつものあれをやってもいいけれど、この様子だと恐らく機能しないな)」
たどり着くまでのわずかな時間でそう考える。
しばし考えた後、自分にしか聞こえない声量で呟いた。
「試す価値はあるか」
いよいよゴール前、こちらを真っ直ぐ見つめるデザームを見て立ち止まると、彼女はいつもとは違うシュートフォームを取った。
「「！！！」」
誰もが消えるシュートを打つと予想していたのか、雷門が唖然とする。
神門はボールを軽く蹴りあげ、 それを追って飛ぶ。
黒いオーラがボールを包み集束した後、足裏で鋭く蹴り押した。
「『ソル・アーテル』」
「っ！」
デザームは少しだけ目を見開くと、片手で止めようとしていたのを止めもう片方の手も前に出す。
それにより一点集中の素早いボールはデザームの手の中に収まった。
「ふむ、やはりまだ改良する必要がありますね」
「神門！」
降り立った神門はどこか気だるげな表情でつぶやく。
すると後ろから塔子が抱きついた。
「いつの間に必殺技なんて考えたんだ？」
透子と同様に駆け寄ってきた風丸が問う。
寄ってくる者とそうでない者がいるが他のメンバーも気になるみたいだった。
「考えたというより、練習マシーン攻略の過程でできた副産物ですよ。ある程度イメージもできたので試しに、と思ったんですがまぁ止められましたね」
「でもすごいよ神門！初めてデザームに両手を出させたんだ！」
興奮して腰に抱きつく塔子。神門も褒められて満更でもないようで、僅かに口元が微笑んでいた。
神門の必殺技によって雷門の士気は上がり、それぞれが特訓の成果を出していく。
特に円堂はそれが顕著であり、イプシロンのシュートを通すことがないまま両者互角の試合が続いた。
しかし。
「いつまで守ってんだよ！」
「吹雪？」
強引に突破し上がっていく吹雪に神門は顔を顰める。
鬼道の呼びかけも無視した吹雪は、そのまま正面を開けられたゴールにエターナルブリザードを打った。
至近距離で打たれたシュート。強化された今ならかなりの威力だろう。
「待っていたぞこのシュート。あの時は遠距離からであれだけのパワー、この距離ならどれだけ強烈か！」
そんなエターナルブリザードは、デザームが初めて出した必殺技によって叩き落とされることとなった。
「ワームホール」
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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