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「ありゃ、どうやらもう始まってしまったみたいですね」
できるだけ急ぎめにこちらに向かって来たのだが、コートから聞こえたキックオフの声で試合開始には間に合わなかったことを悟る。
土手の上から覗き込むと、雷門の試合相手が見えた。
「女の子のチームだね。雷門の相手ってことは、有名な子たちなの？」
「さぁどうでしょう。いくらFF優勝校とはいえ強豪ばかりを相手にするわけではないでしょうし」
相手の様子を伺うと、使っている方言から見て地元のチームということがわかる。FWの子が駆け上がって行き、そのままアクロバティックな動きで一郎太を抜いた。
「おや......」
そのままもう一人の色黒の子がボールを受け取り正面からゴールに挑む。当然キャプテンは真正面から向かってきたボールを取り逃すことはなく、がっちりと両手でボールをとめた。
「アホかリカ！そんな正面かてどないすんねん！コーナー狙わんか！コーナー！！」
「そんなん言われんでも分かっとるわ！ちょっとミスっただけやろぉ！？」
シュートを決めた子の名前はリカというらしい。
大きな旗を振り回している女性は監督かと思ったが、恐らく彼女の母親なのだろう。髪色は同じで顔立ちもどことなく似ている。
その後の試合はなんとも言えない様子だった。彼女たちは相手を翻弄しつつお粗末とは言えないプレーで雷門を攻めていく。
一郎太に至っては先程突破された彼女にハニートラップでも仕掛けられたのか、目が合う度に固まっている。
そしてついにはプリマドンナという技にまで巻き込まれてしまった。
「プリマドンナ！」
「不覚.....」
「ん、ふふ....」
「笑ってて大丈夫なのかな...」
「いやぁ普段の彼を知っているのでより面白いというか...ふふ」
どうにもその様子がおかしくて肩を揺らして笑ってしまう。
苦笑いを浮かべる薫の横で笑いながら試合を見守る。木暮の旋風陣が成功したがよそ見をした隙にボールが奪われてしまい、そのまま御堂とリカの二人が放ったバタフライドリームによって先制点が取られた。
ここで前半戦が終了。
ハーフタイムに入り、まさか一点リードされたまま終わると思っていなかったのか雷門は唖然としている。
「あー！神門さんでやんす！！」
頭を抱えている彼らをくすくす笑いながら眺めていると、ふと上を見た栗松に気づかれてしまった。
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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