vsイプシロン ページ20
練習場に黒いサッカーボールが現れイプシロンがやってきた。
イプシロンは慣れた顔で地下のグラウンドを開く。予想通り、ここはエイリア学園が所有していた場所らしい。
「本人の申し出を受けて、浦部リカさんをチームに迎えることにしたわ」
「よろしく頼むぜ」
「任しとき！」
引きづられる一ノ瀬は気の毒だが、シューターが増えるのはだいぶ嬉しい。
ちらっと吹雪を見ると何やら浮かない顔をしていて、私の視線に気づくことはなかった。
「FWは浦部さん。吹雪くんはDFに入って序盤は様子を見なさい。この一戦で全てが決まる。これを最後の戦いにするのよ、必ず勝ちなさい！」
「「はい！」」
これで最後に。そう言ったが、まだ出てきそうな何人かの姿を見ていないことに、彼女は気づいているのだろうか。いや、この人が気づいていないわけがないか。
まぁ最後だろうとそうでなかろうとやることは変わらない。
必ず勝つは人によってはプレッシャーになるはずだ。
前回押し負けたという吹雪が気にしすぎなければいいのだが。
「神門？どうかしたのか？」
「っ！塔子」
「なに考え込んでるんだ？」
後ろから肩を捕まれびくりと反応する。
振り返ると不思議そうな顔をした塔子がいた。どうやら反応がなかったのを心配してくれたみたいだ。
「いえ、なんだかんだ言って私がエイリア学園と試合をするのは初めてだな、と」
「そういやそうだなー。前回は木暮が出たし、その後は真・帝国学園だったから」
そんなふうに話しながらポジションに着く。さてどれほど役に立てるかはわからないが、やってみようではないか。
イプシロンの集まる場所に何気なく視線を向けると、ふとデザームと視線が合った気がした。
＿＿＿＿
「あ、今日はいるっぽい」
イプシロンのベンチにて、マキュアはひょっこりと額に手を当ててグラウンドを覗き込む。
先程視線が合った少女、神門から真っ直ぐ目を離さないデザームを見て、ゼルは神門を思い切り睨みつけた。
「デザーム様、あの人マキュアが相手をしても...「俺が潰す」はぁ？！」
「許可を頂けますか」
「ちょっと！マキュアが先だったんだけど！」
ゼルがマキュアの言葉に被せそう言うと、当然マキュアは気に入らないのか苛立たしげに反論し始める。
それには興味を示さず、静かに神門を見つめていたデザームは不意に視線を外した。
「許可する」
「はっ」
「え、そんなぁ！」
不満そうなマキュアを横目に、ゼルはニヤリと笑った。
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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