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夜。抜け出した吹雪の後を追って練習場に向かう。
予想通りシュート練習を始めた吹雪を壁によりかかりながら見つめる。
タイムリミットは23時まで。日付を越えて続けるようなら殴ってでも連れていくつもりだ。
時計を確認しながら見守っていると、不意に吹雪の動きが止まる。
口調的に考えて、士郎がアツヤを説得しているみたいだ。
「アツヤ」
「っ！！」
呼びかけると彼はもの凄い形相でこちらを見た。
「神門か...」
「23時までは待ってあげます。それ以降は寝袋に放り込むのでそのつもりで」
そう言うとは彼は驚いた顔をした後に渋々頷いた。
欠伸を噛み殺し、扉の前で何やら話し込んでいるキャプテンと秋に視線をやる。
あと30分。ここで彼らが入ってきて吹雪が止まるならそれも良かったが、彼らは私と目が合うと口パクで何かを伝えてそのまま去っていった。
「(任せた、ね)」
正しく読み取れたかはわからないが、まぁ多分合っているだろう。
彼らの中でどんな話があったのか知らないけれど、どうやら彼のサポートを私に一任するらしいのは何となくあの後の皆の態度でわかった。
鬼道に関しては若干気まずかったが向こうが変わらない態度で接してくるのでこちらもあまり気にしすぎないことにした。
「もうそろそろ終わりにしますよ」
「まだだ！まだこんなんじゃあいつには、？！」
「体が資本と言うでしょう。このまま続けて、明日疲れた体で試合をやっても実力が全て出せなければ意味が無い」
頭を軽く小突いて腕を組む。
淡々と見つめれば、バツが悪い顔をしたアツヤが顔を上げた。
「けどよ...」
「士郎だって休めと言っているんでしょう？それに、このまま続けたとして明日苦しい思いをするのは士郎も同じでしょう」
「......」
「それとも、自分のせいで兄弟が不調でも良いって？」
「そんなわけ、ねぇよ」
「なら今日はもうシャワーでも浴びてきなさい。待ってるから、こっそり抜け出そうなんて考えるんじゃありませんよ」
そこまで言うと流石のアツヤも諦めたらしい。目の光が消えて士郎が戻ってくる。
彼は私を見ると眉を下げて微笑んだ。
「ごめんね...」
「構いませんよ。人格を切り替えている以上不都合も出てくるでしょうから、何かあったらとりあえず私でも誰でも言いなさい。抱え込んでいいことなどほとんどないんですから」
「うん、ありがとう」
片付けを終えた吹雪を見届け、私も寝に入る。
明日は何も無ければいいがと思いながら、そっと目を閉じた。
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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