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_______私と弟にあった出来事の全てを語る。
弟がいた事、その弟とある事がきっかけで離れてしまったこと。全て語り終えると、黙り込む彼はなんとも言えない顔をしていた。
「心配してもそれに気付こうとしない態度とか、怒られて何も言えない顔とか。何となく似ていて、つい世話を焼いてしまいまして」
そう言って微笑む。
久しぶりに懐かしい話をした。
離れてから意図的に思い出さないようにしていたのだが、最近になってまたあの子の顔が脳裏をよぎる。
まぁ、理由ははっきりしているが。
「お節介だったらごめんなさい。ただ心配されている自覚は持ってくださいね」
それだけ言ってこれ以上は邪魔をしないように立ち去ろうとするとパシリと手を掴まれた。
振り返るとそこにいたのは先程までの吹雪ではない、普段の吹雪士郎が何かを決心した顔つきで立っていた。
「吹雪？」
「.....僕の、僕たちの話も聞いてくれる？」
吹雪から語られたのは、雪の日に雪崩で両親と双子の片割れが亡くなったという話。
父親に言われた完璧なサッカープレイヤーでいるために双子の弟、アツヤの人格と入れ替わりながらサッカーをしているらしい。
「DFは士郎、FWはアツヤ。そうやって分けることで僕たちはずっと完璧を続けてきた」
「でも、デザームにアツヤのシュートが止められてしまった」
漫遊寺での試合。
私は見ていなかったが、どうやら技も出さずに片手で止められてしまったみたいだ。
震える手がマフラーを握って、雰囲気が変わる。
「もっと力がねぇと、完璧になれねぇ...」
「それは...」
「だってそうだろ！？シュートが止められた俺は意味が無い、兄貴のDFだけじゃ完璧じゃない！！」
「吹雪...いや、士郎」
「！！」
今興奮しているのはアツヤの方だ。
冷静に話をするためには士郎と話すべきだと思い、区別するために下の名前で呼んでみる。
「完璧になりたいと願うのも、そのために何をするか選ぶのも全部お前たちの自由だよ。でもそれは二人だけでないと駄目なの？」
「神門.....」
「それに、最強の矛があるのだとして、その矛が盾に折られたとしても最強でなくなるわけじゃない」
「でも、それでも折れたことに変わりない...」
「お前たちは、私たちを信じられない？」
そう聞くと、核心をついたからか士郎は明らかに動揺した。
強くなければ価値がないと思っているのかもしれない。そうではないと言いたいが、言ったところであまり意味を持たない気がした。
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桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
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