×× ページ12
「...お前の強みは持久力と安定したスピードでしょう？対して私はどちらかといえば瞬発力に片寄ってますし、吹雪に至ってはポジションが違う。得手不得手で得意とするものが同じでも役割が違うんですから、何もかも身につけようとしなくたっていいんですよ」
「......うん、そうだな。ありがとう、なんか俺焦ってかっこ悪いな」
「余裕のない男はモテませんしね」
「えっ」
表情が明るくなったことに内心安堵しつつ、そのまま話題を逸らして茶化す。
丁度よく目に入った一ノ瀬を指さして一郎太の耳元に顔を寄せた。
「ほら、一ノ瀬を見なさい。余裕があるからこそあんなにモテて.....うん」
「......いくらモテてもあれは嫌かな」
「そうですね...」
いっそ清々しいほどにまとわりつくリカが見えて揃ってため息をつく。
それがなんだか面白くて、二人で顔を見合わせて笑った。
すると何やら差し入れを持ってきてくれたらしく、向こうの方でわらわらと人が集まっていくのが見えた。
「私たちも行きましょうか」
「そうだな。そういえばもう昼だし、すっかり空腹だよ」
CCCが持ってきてくれた差し入れは大阪名物の詰め合わせだった。
「「いただきまーす！！」」
元気のいい一同がものの取り合いになったところで、巻き込まれないように横に逸れてゆっくり食べる。
オードブルはあまり食べないから新鮮で、味わうように食べていると、ふと後ろから話しかけられた。
「なぁあんた。河川敷に来た時隣におったん彼氏？」
「ん"？！」
驚いて喉につまらせそうになり慌てて水を飲む。
振り返るとCCCのうちの二人がいた。何やら期待するような目でこちらを見ており、どうやら厄介なことになりそうだなと苦笑いをうかべる。
「違いますよ。彼はナンパされただけですし、会ったのはあれが初めてで」
「でも連絡先とか交換したやろ？」
「してないです」
「えぇ！？勿体ないことしたなぁ。あんなイケメンそうそう出会えへんやろ」
「...まぁ」
グイグイと声をかけられた時の状況やらデートで何をしたやらを聞き出される。
周りを見ても巻き込まれたくないのか先程から誰も目を合わせてくれず、途方に暮れているとふと吹雪が見当たらないことに気づいた。
「あれ吹雪は？」
「そういえば見当たりませんねもしかしたらまだ練習してるのかもしれません私が見に行きましょう！」
「あぁ！逃げた！」
気づいたキャプテンにこれ幸いとそう告げる。後ろから掛けられた不満げな声は聞こえないふりをした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 84人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
桜餅 - ストーリーの流れ作りやセリフ、心理描写などがすごく丁寧で一気読みしててすごく楽しいです。神門ちゃんも神々しくて性差のないセリフもミステリアスで推しになっちゃいました。続きいつか見られたらいいなと思います。 (4月21日 10時) (
レス) @page27 id: 4b77f742c4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
