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胸の前でぎゅっと握られた小さな手をヨシュアがそっと包み込んだ。
「大丈夫だよ、A。わたしも杖選びには随分かかったけれど、ぴったりな杖が見つかったからね」
「お父様…」
「自分の一生を預ける杖だ、じっくり探していこう。きっとお前のための素晴らしい杖が見つかるよ」
「はい！」
沈んでいた心がヨシュアの励ましで浮上し、Aは頬を染めて返事をした。
そうよね、オリバンダーは昔からの有名な杖店だし、きっとわたしの杖も見つかるはず…！
それから数本試した杖はどれも窓を割ったり、旋風を起こしたり、箱を崩したりと良くない結果に終わったが、Aは不安になる度にヨシュアの励ましを思い出して前向きになるようにと努めた。
Aの不安と反対にオリバンダーの顔を楽しそうに輝いていく。
「これは珍しい組み合わせじゃが…ヤマナラシの木に不死鳥の尾羽根、14インチ。決闘に最適でしなやか」
白くきめ細かい杖を手にした瞬間、Aの体を爽やかになにかが走った感覚がした。
───これが、わたしの杖…。
振る前からAには分かった。興奮で息が詰まる。ふー…っとゆっくり深呼吸したあと、Aはもったいぶるように優雅に腕を振った。
杖の先から光が迸る。深い海の、晴れ渡る空の、瑞々しい草木の、様々な碧の光が噴水のように湧きだしてAの周りを踊った後、溶けるように消えた。
神秘的な光景にその場にいた３人は言葉を失いただ見惚れた。
「…ブラボー！美しい！」
「とても綺麗な魔力だった」
ふたりに拍手され、Aは照れたように笑みを浮かべる。
でも、満更ではなかった。自分も見とれてしまうような魔力と、それを見せてくれた杖が誇らしい。
光に照らされ白さが際立つその杖をそっと撫でると、杖が答えを返してくれた気がした。
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うたかた(プロフ) - 第一部隊さん» ありがとうございます。最近時間がなくてなかなか書けていませんが、脳内のスリザリン生活をゆっくりしたためたいと思います。 (2018年10月7日 12時) (
レス) id: 0c67ed22ac (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - 凄く心地の良い文章の書き方ですね。とても面白かったです。更新楽しみにしています。頑張ってください。 (2018年10月5日 20時) (レス) id: c19040a7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うたかた | 作成日時：2018年9月19日 13時
