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「A…」ダフネがクスッとからかうように笑った。
「もう、笑わないで、ダフネ」
「ごめんね、あまりにAが可愛いものだから」
とうとう彼女はころころ鈴の音を転がすように笑い声をあげた。肩が揺れるたびに、ひとつに垂れた三つ編みがゆらゆら動いて、淡い金髪がきらめいた。
「これからはあなたとたくさんお話したいわ」
「もちろんよ、ダフネ。パンジーも紹介するわ」
「知ってるわ。パーキンソンのことは。あまり、親しくはないけど」
「そうなの？」
「パーティーで幾度かはね。仲良くなれたら良いのだけれど……」
「きっとなれるわ。パンジーもオシャレや恋の話がとっても大好きなの」
ふたりが和やかに会話を楽しんでいると、──バタン！扉が荒々しく開き、黒のローブをはためかせたしかめ面の男性が重々しい顔つきで入ってきた。大きな音に驚いて、通路を挟んで隣に座っていたネビル・ロングボトムが小さく跳ねる。
「スネイプだわ」
ダフネが体を寄せて囁いた。「知ってる？彼ってスリザリン生にはとても優しくて、他の寮生は大嫌いなのよ。特に…グリフィンドールは」
意味ありげに微笑みダフネは前を向いた。
目付きが鋭く、蝙蝠のように陰気で、常に重々しい我が寮監は、さっそくグリフィンドールの中に標的を定めたようだった。
「ハリー・ポッター」背筋が震えるほど甘く、絡みつくような声でスネイプは囁いた。「我らが新しい──スターだ」
途端にスリザリンからわざとらしい忍び笑いが上がった。マルフォイやパンジーが声を上げて楽しげにしている。ダフネがAを肘でつついた。
Aはかけらも面白いとは思わなかった。混血だが、ハリー・ポッターは英雄だ。彼の方をちらりと見遣ると、彼は不安げにしながらも、セブルス・スネイプの目をじっと見返していた。
「この授業では、魔法薬調剤の微妙な科学と、厳密な芸術を学ぶ」
スネイプがぼそぼそと呟く声は、生徒一人一人の耳元にまっすぐと響いた。彼が喋ると誰も彼もが聞き逃すまいと口を噤み、教室に静謐が訪れる。
「このクラスでは杖を振り回すような馬鹿げたことはしない。そこで、これでも魔法かと思う諸君が多いかもしれん」
ゆっくりと教壇を行き来し、端から端までスネイプは見回した。
「フツフツと沸く大釜、ユラユラと立ち昇る湯気、人の血管を這い廻る液体の繊細な力、心を惑わせ、感覚を狂わせる魔力……」
スネイプの声と話し方は、なんだか人を酔わせる力を持っている。
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うたかた(プロフ) - 第一部隊さん» ありがとうございます。最近時間がなくてなかなか書けていませんが、脳内のスリザリン生活をゆっくりしたためたいと思います。 (2018年10月7日 12時) (
レス) id: 0c67ed22ac (このIDを非表示/違反報告)
第一部隊(プロフ) - 凄く心地の良い文章の書き方ですね。とても面白かったです。更新楽しみにしています。頑張ってください。 (2018年10月5日 20時) (レス) id: c19040a7d5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：うたかた | 作成日時：2018年9月19日 13時
