Triangle -2- (ページ16)

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いのちゃんは、一言で言うと、綺麗な人だ。
それと同時に、とても脆く、儚く、奇妙で、危険。
……もっとも、それに魅せられている俺も、危ないヤツではあるんだけど。

ちねんは、可愛くて、甘え上手で、無意識だろうけど小悪魔的なヤツで。

汚れた考えをちねんに抱くヤツは、いっぱいいて。

傍から見ればおかしいくらいの愛を無条件にちねんに与えるいのちゃんは、
それらからちねんを守ることにも、一切躊躇はしなかった。

「……こんな汚い俺は、ちねんはきらいかな。」

ホテルの一室、シーツの上。
さんざん相手の欲を発散させたあと、失神させるか眠らせるかしたのか、
横たわる相手の横で、服を着こみながらぽつりと呟く。

「……俺にはわかんねえよ、」

わからない。
だってちねんは、知らないんだから。
いのちゃんが、自分の体さえ使って、ちねんを守っていることを。

「今日の後始末は？」

「今日は……コイツ、ケータイにやばいデータ入ってたから、それ抜き取っといて。
次ちねんのストーカーになったらそれ突きつけて脅すから。
その人自身は……どうでもいいよ。」

いのちゃんが抱かれた男の後始末は、俺の役目。
いつからかそうなって、きっとこれからも続いていくんだろうと思っていた。

「……いのちゃん、好きだよ、」

「うん……」

それが崩れ始めたのは、いつだったかな。

いのちゃんが、毎日、まるで何かを急いでるみたいに男に抱かれるようになってからかもしれない。

何か言われたの？
って、そう聞けていたら。

大丈夫、俺がついてるよ。
って、そう言えたら。

ううん、それも余計かな。
きっといのちゃんは、これ以上ちねんに愛を与えてあげられないって思ったんだね。

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