たんぺんしゅう。４ (JUMP×JUMP)

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「でもさでもさ、絶対なんかはあるって」

「無いってば。ずーっと言ってるでしょ？」

「絶対あるー……」

駄々っ子のように主張すれば、いのちゃんは困ったように微笑んだ。

だって見てよほら。

あんなに仲よさそうにやまとしゃっべってるんだよ？
何も無いわけない。

「圭人だってさ、こう発言の端々に出てるじゃん」

「何が？」

「山ちゃん好きーって」

「……それは裕翔の思いこみじゃないかなぁ」

そんなことないよ。
俺がどんだけ片想い続けてると思ってるのさ。

あの優しい笑顔に惚れてからもう何年たっただろう。

圭人の隣には、今日も山ちゃんがいる。

「誰が隣にいようがさ、アタックしてみればいいじゃん」

「うーん、それは……」

そりゃ隣にいるのがその辺の男だったら(女でも)、容赦なく奪いに行くくらいの度胸と器量はあるつもりだけど。

やまが相手なら話は別だ。

JUMPの絶対エース。
歌もうまけりゃダンスもうまい、演技もできて顔もいいのに中身は3枚目。

おまけに圭人とGPSを交換してて、いつでも家に呼びつけられる間柄。

どの辺に、勝てる要素があるのか見当もつかない。

同姓のおれから見たってほんとにかっこいい人だなぁと思うのだ。

それが、たとえ恋敵であっても。

「裕翔なら勝てると思うよ？」

「無理だよ……あ、今頭撫でた！ いいなぁ……」

「もう……」

頬をふくらませたいのちゃんが携帯を見る。

ごめんね、いつも愚痴に付き合わせて。
普段はフワフワしてるけど、ほんとに頼りになる兄貴分だ。

これでも諦めなきゃとは思っているのだけど、どうして中々上手くいかない。

「……ねぇ裕翔、明日ってオフ？」

顔をあげたいのちゃんが首をかしげるから、思わず俺も同じ方向に首をかしげた。

「確かそう。なんで？」

「お出かけ、しない？ ちょっと付き合ってほしいなって」

「なんだ。全然いいよ」

いつもお世話になってるし。
そのくらいは全然。

「ありがと。じゃあ決まりね」

お礼を言ったいのちゃんは、楽しそうに笑った。

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