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そんな三人のささやかな飲み会は、9時を回ったところでお開きになった。
だってね、さっき気づいたけど明日木曜日なんだわ。
いのちゃんと、俺に任せていいよ!といのちゃんを引っ張っていった大ちゃん二人に心のなかで感謝する。
ありがとう、付き合ってくれて。
歩き出しながら『今から帰る』とメールを送れば、秒で返信がきて驚いた。
『おつかれ。大丈夫? 迎え行こうか?』
『ううん、酔いざましにのんびり帰る』
『夜道なんだから気をつけろよ』
『うん』
気味が悪いほどの優しさに違和感。
やっぱり十数年続いてきたものが変わると慣れるのには時間がかかる。
……嫌では、ないけど。
だいぶ涼しくなってきた夜を体感しながら歩いてゆく。
帰ったら薮がいるという事実に心がざわつくのを感じた。
(なんか、変なの………)
当たり前のように隣にいて、その流れで好きになって、でも特に何もするつもりはなく。
あちらから起こされたアクションに一度は怯んで逃げてしまったけれど、それでもやっぱり嬉しかったのが本音。
薮ほど素直に喜びを表せはしなかったけどね。
それでも一人で歩いていたらついつい鼻歌が出てしまって、浮かれた自分に苦笑い。
お土産でも買っていこうかとコンビニに寄ってアイスを二つ買って。
段々軽くなってきた足取りのままエントランスを抜けて、玄関の前に立ったところで、何故だろう、急に俺は怖くなってしまった。
夢だったら、どうしよう。
一昨日の告白から全部夢で、俺と薮は付き合ってなんかなくて、玄関の向こうには誰もいなくて。
明日仕事に行ったら、今まで通り薮がおはようって笑いかけてきたらどうしよう。
膝が震えて、手に持っていたビニール袋がバサッと落ちた。
目の前のドアを開けたくない。
だって、開けて夢だとわかってしまったら悲しすぎる。
開けなきゃわからない、でもわかりたくて、わかりたくない。
どうしよう、どうしよう、
「うっ!」
「わっすいません!え、あれ、光!?」
思考がぐるぐるして固まっていたら、突然おでこに衝撃がきて一瞬頭が真っ白になった。
そろそろと顔をあげれば、心配そうな薮がいる。
「やぶだ……」
「ごめん、遅いなぁと思って。迎え行こうかと玄関開けたら光がいて……」
言葉が終わる前に抱きついた。
あったかい。ちゃんと、生きてる。
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アーリー(プロフ) - やまありが見たいです!シチュエーションはなんでもいいです! (2018年3月27日 10時) (レス) id: 314e4c8ab4 (このIDを非表示/違反報告)
優 - eternalの続きが見たいです (2017年11月8日 7時) (レス) id: 13a9f2ae49 (このIDを非表示/違反報告)
0zf2p163561m7c(プロフ) - 裕翔くん受けが見たいです。相手は誰でもいいです。 (2017年9月23日 11時) (レス) id: ecfae142fa (このIDを非表示/違反報告)
ちろりー。 - 可愛い知念ちゃんが見たいです。厄介なリクエストだと思いますが、ぜひお願いします。長文失礼しました。応援してます! (2017年9月2日 20時) (レス) id: 950c02c76a (このIDを非表示/違反報告)
ちろりー。 - こんにちわ、まそらさま。まそらさまの書く伊野尾ちゃんに惑わされ来ました。そして、リクエストなのですが、やまちねかありちね、又は両方(、、、欲張り)が見たいです。オスっぽいけど知念ちゃんのことが大事でしょうがないのと、ツンツンしてるけど本当は相手がすきな (2017年9月2日 20時) (レス) id: 950c02c76a (このIDを非表示/違反報告)
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