たんぺんしゅう。４ (JUMP×JUMP)

＊＊ ページ14

side ym


「……山田は」

「うん」

「“一口ちょーだい”したいの？」

「そうだね」

「そっか」

目線を落として思案顔。

まな板に手を伸ばして、思いきったようにしゃくりと一切れほおばった。

もぐもぐしながら、早く言えと顔で訴えてくる。

それがいじらしくて、ついいたずら心がわいた。

「一口ちょーだい？」

「ん」

頷いたのを確認して林檎に食らいつく。

光くんの、口の中の。

「んぅー！」

全力で抵抗してくるのを抑え込んで舌を這わす。

林檎がなくなったあともしばらく口内を蹂躙して、俺はやっと口を離した。

よかった、舌噛まれなくて。

「はなし、ちがう」

「まあまあ」

ずるずるとキッチンの床にへたりこむ光くん。

かわいい。

「でも、不安はなくなった？」

「え？」

「そういう、ことでしょ？」

きゅるりとした目で見上げてくる。

そりゃ、確かに、光くんの特別じゃないのかもって不安はあったけど、

「……なんでわかったの」

「なんとなーく」

『光、頭いいから気をつけなね』

テキトー猫さんがくれた忠告。

珍しく、本当だったみたい。

「好きだよ」

「うん」

「光くんが、一番好き」

「……うるせぇ」

荒っぽい言葉での照れ隠しを、もう一回キスで封じた。




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火曜日のヒルナンデス見てからずっと書きたかった。
山田くんの不安がなくなるなら、まぁ一口くれてやっても良いかなっていう光くんの話。

ちなみに光くんは疲れてるだけです。
まだそれを見抜けるくらいにはなってない山ちゃん……

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