たんぺんしゅう。2 (JUMP×JUMP)

いっしょのみらい(ybin) ページ30

※“行き先は、”の続きになります。

side in

ぽっかりと目を開けたら、そこには見たことない風景が広がっていた。

…いや、やっぱり何回か見たことある。ここ、薮の家だ。

伊「いっ、てぇ…」

腰にはしる激痛。

ああ、そうだ。
あのまま流れで最後までしてしまったのだ。

喉がかわいてつらい。

水でも飲もうと思ったのだが、腰の痛み以前に腰に回っている腕のせいで動けそうになかった。

首元に寝息がかかってくすぐったい。

必死に身をよじって体の向きを変えた。

伊「やぶ…？」

小声で呼ぶ。起きる気配はなし。

ちょっとかわいそうかな、でも喉かわいたし。

今が何時かわからないし、今日薮に仕事があるかは知らないけど、無理やり起こすことにした。

伊「やぶ、起きて」

普通の声で呼びながらおもいっきりゆさぶる。
薮は顔をしかめた。

薮「ん…なんだ…」

伊「なんだじゃないの。起きて」

薮「今日は休みだ…」

伊「ならいい…わけないでしょ。起きろ！」

かすかすの声で必死に起こす。

休みだとしても起きてもらわないと、俺が動けなくて困る。

腹が立ってきて鼻をつまむと、ようやく薮は起きあがってくれた。

薮「なんだ朝から。もっとかわいく起こせよ…」

伊「うるせぇ。こちとらお前のせいで動けないんだよ」

薮「昨日の素直さどこ置いてきたおまえ」

伊「ふんだ。知るかそんなの」

そっぽは向けないので寝返りをうって背を向けようとする。

…結果は失敗に終わったけど。

薮「なんかほしいものあるか？」

伊「みず…」

薮「わかった。ちょっと待ってろ」

そんな俺の様子を見て、やっとこさ状況を理解したらしい。

薮はおとなしくキッチンに向かった。

伊「あー…」

一人になった寝室で、考えを巡らせる。

昨日は目まぐるしかった。

知念に言われて、薮にきいて、そしたらキスされて、自分の気持ちに気づいて。

てか、今さらだけど薮も俺のこと好きだったのか？

そうじゃないのに抱くほどひどいやつではない(と俺は信じている)から、そういうことなのだろうか。

どうしよう。ごめん、流れで抱いただけだからとか言われたら。

伊「訴訟…？」

薮「誰を訴えるつもりなんだ」

伊「わっ！」

ぴたり、と冷たいペットボトルを頬に当てられ、思わず叫んでしまった。

薮「ほら、水。悪いな、無理させて」

伊「あ、うん…」

ありがと、と言ってなんとか上半身を起こす。

薮が背中を支えてくれた。

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