きみは知らない（ym×in） (ページ8)

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「どーしよっかなー」

帰り道、ご機嫌でスマホをいじる山田。
歩きスマホは良くないぞ、若いの。

しかし、こんなに楽しそうな山田も久しぶりに見た。
童心にでも返っているのだろうか。

『俺が手伝ってあげる。俺が一緒に伊野尾ちゃんの生きがい、探してあげるよ！』

さっきの言葉を反芻する。

なんであんなこと言ってくれたんだろう。
なにそれって笑われて、冗談にして終わるつもりだったのに。

嘘はついていない。
生きる意味とかわかんなくて、もやもやして、でも別にそんなにこう、精神を病んでるとかいうわけでもなく。

ただちょっと考えすぎちゃう自分の性格が仇となっているだけなのだと思う。

だからそんなに気にもしてなくて、山田がやたらと悩みは？なんて、きくから言ってみただけなんだけど。

(けっこう、本気にしてるよな……)

でも大丈夫なのにな、と思いつつ、どこかで期待している自分がいることも確かだ。

なにかに夢中になって、もやもやしなくなって。

……山田みたいに、心から楽しそうに笑えたら。

そしたらきっと、人生がもっと楽しくなる気がするから。

山田がどうするつもりか知らないけど、乗ってやってもいいかな、なんて。

考えてみれば、昔から俺は、山田に甘いのかもしれなかった。