きみは知らない（ym×in） (ページ6)

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side ym

「こう、決して深刻に受けとめないで欲しいんだけど」

「うん」

「生きる意味が見つからないんだよね」

「うん……？」

長ったらしい前置きに続いて出てきた言葉はけっこう重め。

どうしたらいいかわからなくて目をパチパチさせていると、伊野尾ちゃんが箸を置いた。

「俺ね、多分ちょっとだけネガティブなんだわ」

「うん」

「うまいもん食ったらうまいし、好きなことしたら楽しいし、仕事もやりがいはあるの。でも、なんか生きてて楽しみきれないというか」

わからん。わからんぞ？
何が言いたいんだろう。

「漠然とした、うっすらしてもやもやしたものをずっと抱えながら生きてるんだよね」

「あー…」

言葉は曖昧だけど、なんとなく、わかったような。

「つまり全力で楽しめないんだ」

「まあ、そうだね」

なるほど……って、納得してる場合じゃない。

「それって良くないじゃん」

「そう？別にそこまで思い詰めてる訳でもないし、放ってるんだけど」

「良くないよ！人生なんて楽しんでなんぼじゃん」

「山田って意外と前向きだよね……」

呆れたような視線。

もう、なんでそんなに冷めてるのさ。
よくないよ！もっと熱くならなきゃ！

「つまりそれを解決できればいいんだね」

「あ、まだ相談に乗る気あったんだ」

「あたりまえじゃん」

どうしたらいいんだろう。

もやもやしたものを抱えてる、かぁ。
生きる意味が見つからない……

「そうだ！」

「お、なに」

「もやもやしたものを忘れるくらい、何かに熱中すればいいんだよ。そしたらそれが生きがいになるかも！」

「お？いや、そんなもの簡単に見つかったら苦労しないだろ」

確かにそう。だから。

「だから俺が手伝ってあげる。俺が一緒に伊野尾ちゃんの生きがい、探してあげるよ！」

自信を持って言い切る。

前を見ると、伊野尾ちゃんは、ぽかんとした顔をしていた。