アイドルになった君と【番外編】 (ページ4)

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すれ違い③ ページ4

汐恩『わぁっ！？！びっっくりした！！なに？！』

ものすごく驚いている顔で抱きついている私に顔を向ける汐恩

「…汐恩、話し合おう。」

私は、優しい声でまっすぐ汐恩に言った

驚いた表情だった汐恩は、私の言葉を聞いて少し表情が曇った

2人でリビングに戻ってお互いに向き合って座る

大丈夫。きっと、大丈夫。

私はそう心で唱えてから汐恩の目を見た

「最近、あんまり話せてなかったよね」

汐恩『…まぁ、そうやな』

「今のままじゃ、すれ違ってるままじゃ、ダメだと思う」

汐恩『…でも今仕事がー

「うん。今汐恩が忙しいのは充分、分かってる。それは仕方のない事だと思ってるし、むしろ頑張ってくれてすごい感謝してる。支えたいとも、もちろん思ってる。」

「…でも。〝忙しいから〟この言葉で、今の状況全て片付けるのは…違うと思う。
忙しくてなかなか2人の時間が取れなくても、お互いに思いやる事は、出来るでしょう？」

溢れそうになる涙をぐっと堪える

汐恩『…A、』

泣きそうな私を見て、
少しずつ、汐恩の私を見つめる眼がこうなる前の優しい眼に戻っていくのを感じた

「んー…なんていうのかな。付き合いたての頃のような、あのドキドキとか、復縁して一緒にいられるだけで毎日幸せだと思ってたあの気持ちとかそういうのって、一緒にいられるのが当たり前になると徐々に薄くなっていったよね」

汐恩『…ん、そうやな、』

「それこそ仕方ない事だけど。でもそれって、

〝無くなる〟んじゃなくて、〝見えなくなる〟
だけだと私は思うんだ。慣れちゃうのよ、幸せに。笑

…だから、こうしてたまに、話し合ったりラブラブして見えなくなる度に2人で幸せを探しにいきませんか？」

私が言い終わると同時に今度は汐恩の方から
強く、ぎゅっ…と抱きしめられた

汐恩『……ごめんな。A。俺、最近自分の事ばっかりで…。Aの事全然気にかけてあげられてへんかったわ。…ほんまに、アホやな。俺は』

「……うん。アホ。笑」

汐恩『んふふっ、せやな。…俺は大馬鹿者や。

はぁ…ごめんほんまに。

こーーーーんな可愛い嫁さんやのにな。

ずっと。何年も好きで、めちゃくちゃ大切にしてきた子やのに。幸せボケしまくっとったわ、俺』

汐恩の暖かい体温がじんわりと伝わってきて

それだけで、鼓動が速くなった。

目が合って2人で微笑んで

ゆっくりと、甘いキスをした。