アイドルになった君と【番外編】 (ページ11)

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あの時から① ページ11

「寒っ。」

クライアントとの打ち合わせが終わって
カフェから外に出た途端冷たい風が吹きつける

最寄駅まで駆け足で急いだ

駅に着くと同時にパラパラと雪が降ってきた。

自販機で温かいココアをカイロ代わりに買った
冷たい手がじんわり温かくなっていくのを感じる

制服を着た学生のカップルがいた

手を繋いで、
どっちの方が手が冷たいか競い合って

ぎゅーっと手を握って

あったかいねぇーって

楽しそうに笑い合ってる

そんな2人が

あの頃の私達と重なって見えた

なんだか懐かしく感じて

ほっこりするような気持ち。

家に帰ってからもあの2人を思い出して頬が緩む

汐恩『んー？なんかご機嫌やん』

ビーフシチューを美味しそうに頬張りながら汐恩が言った

「今日ね学生のカップルが駅にいてさ」

汐恩『うん』

「どっちか手冷たいか競い合ってて手ギューって握りあって
あったかいね〜って微笑みあってたの。

すーっごい幸せそうで。笑」

汐恩『んふふ、羨ましかったん？笑』

「んーー。羨ましいっていうよりも

懐かしいなぁーみたいな？笑」

汐恩『昔の俺らと重なったん？』

「うん。なんか不意にあの頃の事、思い出して。」

汐恩『もう１０年くらいか？早いなぁ〜』

「私さ、ずっと汐恩に片思いしてたんよね。気づいてた？笑」

と言うと、汐恩は目を開いて嬉しそうな表情で私の方を見た