思いはチョコレートに乗せて【バレンタイン短編集】 (ページ6)

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サバサバ系女子×モテ男ページ6

嫌気が差す。
　今日一日、何回もチャンスはあったのに…。全部無駄にしちゃうなんて。

「ひかりん、いけるって！このままじゃ後悔するよ！」
　私の声援は空を切って、彼女には届かない。
「ムリだよ…。山崎くんガード硬いって言うし…」
　全くいつまでうじうじしているのだ。こっちはあんたの為に時間縫って準備してきたんだ。
　そんな本音を心の奥底にしまって、安心させるように笑う。
「大丈夫、他の子より努力した、下準備もした。ここまで嫌がってないって事は脈アリだよ！」

「…む…」
「え？」
「無理です～～～～!!!!!」
　アイツ…逃げやがった。

　私の努力時間返せ。

　私の幼馴染み、山崎(人2)はイケメンなので、モテる。小学校の頃から、バレンタインデーには大量のチョコレートを貰っていたし、告白も人一倍受けていた。
　彼にとって、女の子の視線を浴びるのは日常茶飯事。
　だからだろう。彼は告白されても動じない。必死に告白してきている女の子に向かって平気で“だから？”とか言える。

「やっぱアイツも気があったんだ。っつーかオマエも共犯かよ、(人1)」
　後ろから急に話し掛けられ驚いて振り返ると、当の本人がいた。
「…盗み聞きとは、いい趣味してますねー！」
　自棄になって(人2)に当たってしまう。(人2)の性格はひん曲がっているが、私も達の悪い性格してる。ある意味、私達は似た者同士。おかげで出逢ってから10年程経つのにまあまあ良好な関係を保っている。

「で？今年はいくつ貰ったのよ顔だけイケメン」
「一言余計と言いたいが自覚はある。10は下らないだろうね」
　そんな他愛もない話をしながら、大量のチョコレートを持ち帰る手伝いをする。めんどくさいがこれさえすれば…
「今年もごくろう。臨時報酬だ。」
チョコのお裾分けが貰える。

「どーもどーも。…げ!?これとかチョーお高いヤツじゃん！ラッキー」
　毎年おこぼれを貰う私の存在を知ったら、(人2)のファンに殺されるだろうね…。

「じゃ、また明日」
「おう」

　チョコの山の一部を用意していた紙袋に突っ込んで家に持って帰る。

　毎年こんな事してて、バチ当たんないかな。