思いはチョコレートに乗せて【バレンタイン短編集】 (ページ1)

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微S彼女×ヘタレ彼氏ページ1

「欲しくないの？チョコ。」

　そう言うと、そんなわけないって慌てて起き上がった。

「ほしいんだ！そーんなにほしいんだ！うわぁ、モテない男だ。」
「っせーな、オマエわざとらしくイライラする事言うなよ…」

　まあまあと宥めると、なんで怒らせた本人に…、なんてブツブツ言って。

「で、…その、…チョコ、は」
「何？何？随分食い意地張ってんねぇ？」
「…おぉい…」

　私達は通常運転。
　バレンタインだからって特別甘い雰囲気になる訳じゃない。そんな感じじゃない。

「ほい、チョコ。モテない(人2)君の為に恵んでやろ～」
「ったく…、ありがとよ」

　不器用な“ありがとう”は、(人2)が照れた証拠。いじり倒してやろう、なんてゲスい事考えた私はニヤニヤを隠そうとせず、
「うわぁ～、かわいぃ～！てれちゃ…」

　掴まれたのは右手首、私の背中にまわされたのは彼の程よく筋肉質な右腕。私より頭一つ背の高い彼。

　なんか、狡い。

　こうされちゃうとなんも言えないじゃん。狡いよ、カッコいいもん。

「自慢じゃないけどいくつか渡された。」
「…自慢じゃん」
「違うっつーの、聞け。」
　いつもと違う行動、口調。いつもと違う彼。
「全部貰ってない。オマエ嫉妬深いし、…オマエの以外キョーミねーし」

　何ソレ？
「カッコつけんな似合わない。」
　あ、こんなこと言ったら、
「は？ぉ、おまえなあ…」
元に戻っちゃった。元のヘタレ彼氏に。

「いーからさっさと食え！ほらほら！」
「あ、おい…、…ムグっ…ぐッ……ぉえ」
「おいし？おいしいよね、ねー？」
「…窒息死させる気かよ！…おいしいケド」
「…照れた。デレ頂きましたァ！」
「あーもう、オマエ…」