最期の時は ページ38
【 you 】
「はい、これ。」
預かっていた名札を上野くんに返す。
ちょっとしたイタズラを添えて…。
岡部「うわっ！めっちゃ可愛くなってるじゃん。」
名札ケースの周りに貼られているのは、動物のシール。
子供の患者が来た時にご褒美として渡しているんだけど、ちょうどそれが余っていたから貼ってみた。
上野「ありがとうございます、橘先生。」
先週とは違う希望に満ちた彼の表情を見ることが出来て、私も少し嬉しくなった。
上野くんが渡辺さんの担当医になって一ヶ月後、彼女は静かに息を引き取った。
上野「病室、変えてくださりありがとうございました。」
献身的な彼のサポートもあってか、渡辺さんの心は穏やかになっていった。
そんな彼女が言った最初で最期の願いは、桜が見たいということだったらしい。
あの状態での外出許可は出せなくて、せめてもと思い、窓から桜が見える病室へと移動させた。
つい一週間前に咲き始めた桜は、満開とまではいかないけれど、一つ一つが綺麗に咲き誇っていた。
「私たちの仕事は、病気やケガを治すことだけじゃない。
心を救ってあげるのも立派な仕事なんだよ？」
なんて言わなくても、今の彼ならきちんと理解してくれるだろう。
人は皆、泣きながら生まれてくる。
それなら最期の時ぐらい笑って過ごしたい。
そのために、私が出来ることなら何だってしたいと思うのだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ホッシー(プロフ) - すごくおもしろいです！やっと呼び捨てで呼んでくれましたね！ (2014年9月1日 23時) (
レス) id: 4954e860fa (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - ありがとうございます。 (2014年4月19日 21時) (レス) id: a9cb2e60e4 (このIDを非表示/違反報告)
saori(プロフ) - ユイさん» 実はわたしも、呼び捨ての方が良かったりします (*^^*)笑 (2014年4月19日 19時) (レス) id: 18aab62f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - すいません。ありがとうございます。 (2014年4月19日 19時) (レス) id: a9cb2e60e4 (このIDを非表示/違反報告)
saori(プロフ) - じぇいめろさん» まだまだ気長に続ける予定なので、ちょこちょこ覗きに来てください！ (2014年4月19日 17時) (レス) id: 18aab62f3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：saori
| 作成日時：2014年4月14日 19時
