指導医の命令 ページ23
【 you 】
いくら他の科で研修を積んでいたとしても、上野くんはまだ研修医だ。
それを分かっていながらも、投薬指示を彼に一任した私にも責任がある。
もし、仮に看護師の誰もが気付かなかったとしても、最後の砦である薬剤部が気付いてくれていただろう。
でも、それではダメなのだ。
こんなミスは絶対にあってはならない。
「医師免許を持って医師である名札を付けている以上、君はここのドクターなんだよ？」
医療技術は問題ない、それは私が認める。
でも、彼には肝心の医者としての心得が足りていない。
上野「救命の研修を辞めさせていただけませんか？」
ずっと下を向いていた彼は、小さな声でそう言った。
上野「俺にはもう無理です。こんな仕事、俺には出来ないです……。」
そう言うと彼は名札を外し、ナースステーションの机にそっと置いた。
「とりあえず一週間休んで、よく考えて。
それでも救命が嫌なら、私が他の科での研修を頼んであげるから。」
上野くんをここまで追い詰めたのは私のせいだ。
渡辺さんの一件があって少し厳しく指導し過ぎたのかもしれない。
七海「上野くんさ…っ！」
何かを言い掛けた七海を止める。
ここで誰が何を言っても、今の彼には無意味だ。
「きちんと考えた上で、来週ここに来なさい。これは指導医の命令だから。」
それまでは彼の名札を預かっておこうと、白衣のポケットにそれを入れた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 449人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を含むプレイリスト 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ホッシー(プロフ) - すごくおもしろいです！やっと呼び捨てで呼んでくれましたね！ (2014年9月1日 23時) (
レス) id: 4954e860fa (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - ありがとうございます。 (2014年4月19日 21時) (レス) id: a9cb2e60e4 (このIDを非表示/違反報告)
saori(プロフ) - ユイさん» 実はわたしも、呼び捨ての方が良かったりします (*^^*)笑 (2014年4月19日 19時) (レス) id: 18aab62f3b (このIDを非表示/違反報告)
ユイ(プロフ) - すいません。ありがとうございます。 (2014年4月19日 19時) (レス) id: a9cb2e60e4 (このIDを非表示/違反報告)
saori(プロフ) - じぇいめろさん» まだまだ気長に続ける予定なので、ちょこちょこ覗きに来てください！ (2014年4月19日 17時) (レス) id: 18aab62f3b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：saori
| 作成日時：2014年4月14日 19時
